過激なアンチ海賊盤企業Media Defenderが1600万もの無料音楽をP2Pネットワークに提供、ただし広告付き
以前にも書いた過激なアンチ海賊盤企業 Media Defender が、今度は1600万もの無料の音楽をP2Pネットワークに流すというのが話題になってます。
Media Defender to Spam P2P Networks With 16,000,000 Tracks from One Artist
しかしこれが単なるspam(迷惑広告)ではないかというお話。詳細は以下から。
Media Defender社は、アメリカの大手携帯電話キャリアSprint社、ならびにアトランティック・レコード社と数百万ドルで提携し、1600万の無料音楽ファイルをP2Pに流すんだそうです。
ただし、これはPliesというたった一人のヒップホップ・アーティストの曲だけ。それも広告付きだそうです。音楽を再生するとパソコンの画面やiPodなどの再生デバイスの画面に、Sprint社のロゴが出てくるようになるんだとか。
これにより、レコードレーベルの宣伝、アーティストからブランドへの紐付け、さらには海賊盤対策を期待してるとのこと。
Media Defenderは、以前にもSuretone Recorde社と提携して、中途半端な無料音楽をP2Pにばら撒いたことがあるようです。思いっきり失敗したようですが。
元サイトでは、広告がポップアップしてくるような音楽が欲しがられるとは思えないし、同じ曲が普通にP2Pで手に入ってしまう以上、効果は無いだろうとしています。
ですが、無料で音楽を配信しても利益が上がるビジネスモデルというのは、「コピーが事実上コストゼロ」なデジタル時代において、非常に重要なことではないでしょうか。
かの有名なP2Pソフトウェア「Winny」の作者である47氏こと金子勇氏は、コピーフリーでも成り立つコンテンツ製作者側の集金モデルを考えていました。それはWinnyを開発しながら、コンテンツがデジタル化可能な限り、どうあがいても無料でコピーが作られてばら撒かれてしまう事を実感したからに他ならないでしょう。
実際、Winnyには音楽だけでなく、テレビ放送が録画されて動画ファイルとしてばら撒かれていたり、漫画のスキャン画像、はては小説のテキストファイル化されたものまで流れているそうです。
どんなコンテンツも、需要がある限り誰かがデジタル化し、「コピーコストゼロ化」してしまうのです。
となれば、「copy right」、つまりコピーする権利、日本語では著作権と言いますが、このコピーする権利以外の部分で収益を上げなくてはならないわけです。
そのために広告を入れるというのは非常に有益なアイデアではないでしょうか。
確かに同じアーティストの曲ばっかり1600万も流されたら、元サイトの言うようにspamにしかならないかもしれません。ですが、広告を付けて無料配信というアイデア自体はとてもいいことだと思います。
だから Media Defender さん、もう少し上手にやってくれませんかねえ。広告収入できちんと利益があがるモデルが確立すれば、DRMだコピーワンスだと無駄なコピー制限技術に翻弄されなくて済むんですから。