Linuxを始める前に知っておくべき10のことがら

Linuxファンの告白: Linuxを始める前に知っておくべき10のことがらという記事がありました。この人は最近Linuxを使いはじめて、いろいろと困ったことにぶつかったようですね。しかし読んでると、こちらもLinuxファンとして言い返したくなることがいろいろとあります。
今回はそんなこともまじえつつ、この10のことがらを紹介しましょう。
Linuxというものがそもそも何かわからないという御仁は以前に書いた「最近話題のLinuxってなんだ?」をご覧ください。
1. ベーシックインストールは基本的に簡単だが、初めて使う者にとって、デフォルトから変更しようとするときにトラブルにあうことがある
インストーラがグラフィックドライバを持ってないときなど、他のCDを探すかブートスクリーンでオプションを書き換えなきゃいけない、とのこと。
そりゃ対応してないハードウェアで動かそうっていうなら、それくらいはしょうがないんじゃないでしょうかねえ。これはドライバの開発に非協力的なメーカーにも責任はあると思います。nvidiaやIntelは非常に協力的で、自らLinux向けドライバも出してくれてますから、ずいぶん楽に動きます。
逆にAMDに買収されたATiはダメですね。Linuxドライバも出してくれてますが、ろくすっぽメンテナンスされてません。情報公開にも消極的で、フリーなドライバ開発もあまり進んでないようです。
2. きちんとLinuxをインストールしようと思うなら、パーティションテーブルをいじらなくちゃいけない
これは単なる誤解でしょう。ルートパーティションが1つあれば十分です。最近はインストーラにお任せでも、適切にパーティションを切ってくれます。
3. コマンドラインの使い方を学ばなくちゃいけない
最近は必ずしも必要とは言えませんが、学んでおいて損は無いですね。Windowsでもちょっと濃いユーザーになると、コマンドラインでせっせと設定や処理をこなす事もあります。慣れるとマウスでぽちぽちやるより圧倒的に速いですからね。
また、Linuxを始めUNIX系列のOSは、Windowsよりも遥かに便利で高機能なコマンドライン・インターフェイス(CLI)を持ってます。覚えてしまえばGUIよりも効率的に作業がこなせるようになりますよ。
4. ゆれるWindowsの効果だとか、3Dデスクトップだとかはユーザー側で工夫しなくちゃいけない
Novell社の開発したCompizや、その派生のBerylのことですね。見た目も派手で、実は使ってみると非常に便利なウィンドウマネージャです。ただまだまだ開発途上といったところで、不具合もけっこう残ってます。この状態でいきなり使わせられる方がよほど迷惑ですので、ユーザー側がどうにかして使えるようにする、というのは正しいですね。
Berylプロジェクトが積極的に開発していますので、今後に期待といったところですね。
5. 当然ながら、Windowsより動くHardWareの数は多い。だけど、100%のハードが動くというわけではない
あたりまえです。そもそもWindowsで動かないハードウェアだってあります。メーカーが正式に対応してないハードがこれだけ動いちゃう事の方がよっぽどおかしいんです。
もっとも、Intel、IBMといった大御所がどんどんLinuxの開発に参加していますから、そこらへんはけっこう安心ですね。数年前に比べてずいぶんと楽に動かせるようになってきました。
逆にLinux開発に参加せずに、ドライバだけ出してるようなメーカーは、かえって苦労する事が多いですね……。
6. パッケージにないパッケージをインストールする場合には、自分で調査が必要だ
これもあたりまえの話ですね。ディストリビューションで対応してないソフトウェアを動かそうというのなら、その分の調査くらいは自分でやらないといけないでしょう。
UNIX系のソフトウェアというのは、Windowsと違ってたくさんのOSで動くように作られています。UNIX系のOSはそれこそいろんなメーカーから何十も出ているので、個別に対応できないんですね。Windowsを作っているマイクロソフト社も、20年ほど前にUNIX系OSを作って売ってたことがあります。
なのでそういったソフトウェアをOSを作っているプロジェクトがかき集めてパッケージングし、すぐに使える状態にしてOSとともに配布しています。これを「ディストリビューション」と言うのですね。Linuxのディストリビューションも、正確な数はわかりませんが、数十から数百種類あるのではないでしょうか。メジャーなものだけでも5つや6つはすぐ出てきます。
これだけ多様なOSがある以上、ソフトウェア制作者側だけで対応するのは無理です。そのディストリビューションに入ってないソフトウェアは、自分でどうにかするか、ソフトウェアを作った人にどうにかしてもらうかしかないでしょう。
7. 大半のソフトを作る会社はLinuxのことを忘れてくれる
LinuxにはPhotoshopもMS-OfficeもiTunesも無い!
そりゃ使う人がまだ少ないですから、売れないソフトは作られないですよねえ。
しかしPhotoshopの代わりにGimpがあります。MS-Officeの変わりにOpenOffice.orgがあります。iTunesなんかなくなって、iPodと音楽を同期できるソフトはたっくさんあります。
無いものは作っちゃうってのが、Linuxユーザーたちのいいところですね。
8. Linuxは度胸のない者のためのものではない
Linuxユーザーには大量の選択肢が与えられます。その選択肢の多さにびびってしまうような人には、とてもじゃありませんが使えないでしょう。
しかし、選択肢があるからっていちいち全部について考えなくてもいいんじゃないでしょうかね?
9. Linuxはウィルスやスパイウェアはほとんど無いが、何かしらの防衛は必要だ
もうこの時点で何か勘違いしてますね……。
Linuxをはじめ、UNIX系OSはWindowsが産まれるより遥か昔から侵入やウィルスと戦って来た歴史があります。その手法も研究され、洗練され、どうしたら侵入されないかという研究も進んで来ました。
よくLinuxとWindowsはどちらが安全かという話で、修正された欠陥の数を比較するものがあります。これもその内容をきちんと見てみると、Linux側の欠陥は非常に細かい物が多く、付属のゲームの欠陥まで修正してる事がわかります。そんなものでも侵入に利用されうるという世界を生き抜いて来た証拠ですね。
Linuxにもウィルスやスパイウェアはたくさんあります。なんかしらの防衛が必要という結論は変わりませんが、その点はお間違えの無いよう。
10. Linuxはユーザーが賢いと考えて作られている
これはなんとも言えないですねえ。むしろWindowsのほうが「ユーザーはバカ」という前提で作られすぎているという気がします。
Linuxのエラーメッセージはちゃんと読めば意味がわかりますが、Windowsのエラーメッセージは「どうせわからないんだから一緒だろ」と言わんばかりに意味不明なものばかり。
そういう意味では確かに「ユーザーが賢い」というか「知能を持っている」という前提で作られてはいるんでしょうね。