地デジ移行で10人に1人がテレビを見なくなる事が判明
地デジ完全移行で約2%が「テレビを見るのをやめる」という記事がありました。2%も見なくなるのか、と思いましたが、よくグラフを見ると2%どころではない模様。どう見ても10%くらいの人が現行の地上波放送を見なくなるというアンケート結果です。
詳細は以下より。
問題は二つめの円グラフです。
「Q:アナログテレビ放送が終了するまでに、地上デジタル放送を受信できるテレビやビデオなどを購入しますか。 」という質問の答えが、以下のようになってます。
- 購入する予定: 57.6%
- 別のテレビに変更: 5.5%
- テレビを見るのをやめる: 2.5%
- 未定: 32.1%
- その他: 2.3%
地デジ対応機器を購入すると答えた人、未定と答えた人以外は、地デジを見る気が無い人です。別のテレビにする人、テレビを見るのをやめる人、その他をあわせると10.3%の人が地上波放送を見なくなる人です。
つまり10人に1人は地上波放送を見なくなるということです。
現状の地デジは、とてもじゃありませんが視聴者にとって便利な事が何ひとつありません。今まで難視聴地域に入りそうで入らないような、受信状態の悪い地域の人にとっては画質が向上するというメリットはありますが、それ以外のメリットはまったくありません。
逆にデメリットはたくさんあります。
- チャンネルを変えても1秒弱は何も映らない
- コピーワンスがかかってるので、録画しても保存しておけない
- コピーワンスのせいで録画した番組をiPodなどに転送できない
- コピーワンスのせいでHDDレコーダからDVDに移してる途中に停電などがあると、DVDのデータもHDDのデータも破損して二度と見れなくなる
- 視聴に必要なB-CASカードが特定の法人の独占事業になってるせいで、自由に視聴機器が作れない(パソコン用のキャプチャカードなどは全滅)
などなど、数え上げればきりがありません。
一応改正で9回までコピー可能ということにはなりましたが、それも元のデータを9回コピーできるだけで、コピーからコピーを作れるわけじゃありません。もちろん録画した機械が対応してるメディアにしかコピーはできません。対応してない新製品にコピーできる機械が無い、なんてのは現状もそうですし、将来に渡ってずっとあることでしょう。
結局実質のところは何も変わってないということになります。
もちろん有限の資源である電波を再整理し、使える電波帯域を増やすという意味では間接的にメリットはあるのですが、そもそもテレビ自体がデジタル化で不便になっては支持が得られるはずもありません。
また、今回の調査はインターネットユーザー相手だということで、比較的所得の高い人が多いという指摘もあります(参考リンク)。
となれば、所得の低い人たちは新しいテレビへの買い換え予算が取れず、本当にテレビを見なくなるという可能性も決して低いものではないでしょう。
実際のところ、テレビなど見なくてもこの世にはおもしろいもの、役に立つものがたくさんあります。インターネットもそのひとつですし、洋画のDVDがバカみたいに安い現状を考えれば、今のテレビと1万円くらいのDVDプレイヤーがあれば、じゅうぶんに楽しめます。
インターネットにはYouTubeやニコニコ動画のようなもっと自由で楽しい映像作品が見られる場所が増えており、それが見られる機械もパソコンだけではなくなっています。携帯電話、Wiiなどのゲーム機でも、YouTubeは見られます。
ニュースなど携帯電話やパソコンでじゅうぶん以上に見られますし、テレビじゃ報道しない話もウェブならどんどん出てきます。もはや報道メディアとしてのテレビはその役割を終えているといっても過言ではないでしょう。
テレビは無くても困らないものになって来てるんですね。
このような現状の上で、4年後の地上アナログ停波は、地上波放送というメディアにとって大打撃になるのは間違いないでしょう。内容でも便利さでも負けていては、従来からの惰性で見てる人たち以外取り込みようがないからです。
それでもまだ6割近い人が地上波放送を見続けると決めているわけで、マスメディアであることは変わらないでしょう。しかし、今までのように誰もが見るメディアではなくなることは確実です。
さあ、地デジ完全移行まで残り4年。放送局はどう出るでしょうか?