そのとき歴史を動かしたのは……世界を変えた10匹の犬
世界は常に変動し続けていますが、何も世の中を変えてきたのは人間だけではありません。
たった一人の人物、行動が、歴史の大きなターニングポイントになることがあります。
そして、ときには一匹の犬が歴史に大きく関わっていることもあるようです。
そんな世界を変えた10匹の犬のエピソードを紹介します。
1. ライカ(初めて宇宙に出た犬)
上記の犬はちょうど50年前の今ごろ、初めて地球の外に出た生き物としてスポットライトを浴びました。気の優しいこの犬の名前をライカと言います。通りで迷子になっているところを見出された雌犬ですが、ちょうどこの頃はアメリカとソ連の宇宙開発競争が激しく、犬の安全よりもどちらの国がより早く実験を行うかに重きを置かれていた時代で、ライカは打ち上げ後まもなく亡くなっていたそうです。このことは生き物を宇宙へ送るということに関して米国を急かすことになり、生き物をミッションとして月へ送ることにフォーカスされたようです。
2. ストレルカとベルカ(初めて宇宙から生きて帰ってきた犬)
はじめて宇宙に打ち上げられた犬はライカですが、その後何匹も宇宙に打ち上げられ、1960年に打ち上げられたストレルカとベルカの2匹は、初めて生きて帰ってきた犬でした。彼らと一緒にウサギ1匹、ネズミ42匹、ラット2匹、ハエ、植物、真菌類などが打ち上げられましたが、全て生きて帰ってきました。このミッションにより得たことは多いとされています。その後ストレルカは6匹の子犬を出産しており、そのうちの1匹は故ジョン・F・ケネディ大統領の娘のキャロラインに贈られています。
3. ペリタス(ペルシャ帝国を滅亡に導いた)
ペリタス(Peritas)は、アレクサンダー大王の愛犬ですが、この犬がいなければアレクサンダー大王は大王ではなかった可能性が高いとされています。ダリウス3世の軍が押し寄せてきたときに、大王に突進してきた象の口を噛みちぎったとされています。その後ペルシャ帝国を滅亡させ、現在のヨーロッパの基礎を作ったと言われています。
4. チャーリー(キューバ危機を緩和した)
1962年のキューバ危機では米ソ間でもう少しで核戦争という国際緊張のまっただ中、故ケネディ大統領が息子の飼い犬であったウェールズテリア犬のチャーリーを混沌とした会議に召還し、膝の上において緊張を解くために撫でていたと言います。その後決断を下したのですが、それが米ソの衝突の緩和に貢献したとのことです。
5. ジョフィ(フロイトのペット治療)
精神分析などで有名な精神科医ジークムント・フロイトは、患者の診療の時間には必ず犬をそばにおいてました。彼は犬が治療に大きく役立つと信じ、その相互関係や詳細を詳しく記録していました。現在のペット治療の基礎になっています。
6. ユリアン(英国をカトリックと分立させた)
男の跡継ぎのどうしても欲しかったヘンリー8世は、別の女性を王妃にして生ませるために、キャサリン・オブ・アラゴンとの結婚の無効を認めるように当時のローマ教皇クレメンス7世 に願い、ウォルシー枢機卿を派遣しました。教皇がつま先に接吻させる(当時の習慣)ために足を差し出したとき、ウォルシーの犬、ユリアンが教皇に急に飛びつき噛み付きました。教皇はこれに腹を立て、離婚を認めませんでした。このことで離婚を行うために作られたのが、イングランド国教会(Church of England)です。
7. ニューファンドランド犬(ナポレオンの皇帝になる手助け)
フランス皇帝ナポレオン・ボナパルトはエルバ島に追放になったとき、漁師の名もないニューファンドランド犬に溺れるところを助けられたといわれています。その後彼はワーテルローの戦いで敗北しています。
8. チェッカーズ(ニクソン大統領のキャリアを作った)
リチャード・ニクソンが副大統領候補の時代に、不正な資金として18000ドルの寄付について非難され、彼はチェッカーズという名のアメリカン・コッカー・スパニエル犬を贈り物として受けました。娘がその犬を愛していたので返すつもりのなかったニクソンは、そのときにした国民に訴えるような情緒的な有名なスピーチ「チェッカーズ・スピーチ」で、「子供というのはみんな犬が好きなものである。誰が何と言おうと犬を返すつもりはない」と述べました。その放送が国民の心を突き動かし、その後の政治家としてのキャリアを引き伸ばすことになったのです。
9. ペップス(作曲に携わった)
このキャバリア・キングチャールズ・スパニエル犬のペップスがいなければ、地獄の黙示録でヘリ部隊が出動するシーンのヴァルキューレの騎行はちょっと違った曲になっていたかもしれません。 作曲家ワーグナーはペップスを特別な椅子に座らせて、彼の反応を見ながら曲を作っていったと言われています。
10. ドナカー(スコットランド王を作る)
1306年にエドワード1世 がロバート1世(ロバート・ブルース)を落とす目論見で、ロバートの犬であったドナカーを利用し、犬にロバートを探索させた。ドナカーは主人であったロバートを見つけるが、その途端彼は身を返してロバートをかばったことで彼は生きながらえることができ、後のスコットランド王となりました。
CNN: Ten dogs that changed the worldより
2番目のストレルカとベルカは2匹なので、実際は11匹になりますが、いかがだったでしょうか。
歴史動かした犬たち。歴史の大きな潮流は変わらないという考え方もあるでしょうが、もしかしたら彼らがいなければその後の歴史が大きく変わっていたかもしれない、と思うと感慨深いものがあります。
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