人助けで殉職された宮本邦彦警部は忘れられていない

昨年2月、東武東上線ときわ台駅で、線路に立ち入った女性を保護しようとして電車に跳ねられ、殉職された警察官がいました。名前は宮本邦彦さん。命を賭けて命を守ったこの行動は、警察官の鏡であるとか、日本人の失われた良さであるとか、たくさんの言葉に彩られ、総理大臣が弔問に訪れるほどの騒ぎになりました。
その是非はともかくとして、多くの人の心を動かした事は事実のようで、事故から1年の間に、記念碑がたったり、本が出版されたり、ドラマが制作されるなど、宮本邦彦警部を讃える活動が続いています。
今回はちょっといつもと趣向を変えて、そんな宮本さんへの言葉を、あちこちのブログから拾い集めてみました。
まずは事故直後のこの記事から。
たのむ!!本当に頼むから意識回復してくれっ!!何が何でも・助かってほしい!!こういう場面での行動は、人の本性を映し出す鏡で 頭で考えるより先に行動に出る物だと思う。
(中略)
警察官として、人として立派過ぎます。
宮元邦彦さん。頼むから回復してくれ!!
私だったらどうだろう、たとえ同じ立場であったとしても、ここまで勇気ある行動はたぶんできない、また、電車が来るまで2人は1分間ももみ合いを続けていたが、ホームにあった非常通報装置は誰も押せなかったというが
この行動にしても、非常通報装置を押したら大騒動になってしまう、もみ合いを続けている人がその場でやめてしまったら、その後の自分の立場はどうなるなんて考えたら、小心者の自分はやはり現場にいた人々と同じように何も行動できなかったと思う
この他にも、2ちゃんねるなどでも回復を祈願するスレッドがたち、折り鶴のアスキーアートが並んでいたそうです。
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しかし、死亡のニュースが流れ……
電車事件について宮本邦彦巡査部長殉職について自殺願望のある女性をかばって宮本邦彦警部が亡くなりましたが、あれだけ町の人に感謝されてて弔問にきた人が泣き崩れるというのは初めてみました。
(中略)
それほど宮本さんは町民とのコミニケーションを大切にしていたんだなと思います。小さな事でも真剣に聞いてくれたといいますし、心も広くて正義感がありすばらしい人を亡くしてしまったんだなとつくづく思いました。
ご冥福を心よりお祈り申し上げます殉職してようやく、2階級特進の警部昇進に、正七位旭日双光章が授与されることが決定した。死ななければ出来ないのかってこと。なぜ生存昇進が出来なかったのか?
殉職された宮本邦彦巡査部長のご冥福をお祈りします.この度の事故を通してわかった、宮本巡査部長の警察官としての軌跡。警察官のお手本のような彼には、やって頂きたかった職務がまだたくさんあった…それだけに、つらく、惜しんでも惜しみきれない殉職です。
先日、朝の日本テレビのキャスターが「古き良き時代のお巡りさん」と表現したけど、それには賛同できない。したくない。
(中略)
だけど、だけど、宮本邦彦巡査部長の殉死は残念でならないし、彼のようなお巡りさんが実は大勢いることを僕は知っている。テレビのようにかっこよくはいかないが多くのおまわりさんはいろいろな制約のもとで必死で働いています。このようなまじめで市民のために尽くし日々働いている警察官を僕はたたえたいし感謝したい。
悔しさのあまりか、救出された女性を責める声もたくさんありました。しかし、責めるのは亡くなられた宮本さんの本意ではないと主張する人もたくさんいました。
ネット上で表出する攻撃性―自殺しようとした女性を救助した警察官死亡この事件で、宮本巡査部長を巻き込んだかたちとなってしまった、自殺をしようとした女性。
彼女への批判が、非常に多いこと。
実際、この事件を取り上げたブログや日記などで、辛らつな言葉を多く目にしました。
(中略)
しかし、それは宮本巡査部長の遺志に添うものでしょうか?
彼は、そんな人々の声を聞いて喜ぶでしょうか?
「我が身をかえりみず人助け」という美談として捉えることに異論を唱える人もいます。
宮本邦彦巡査部長は死にたくなかったしかし、宮本さんは決して自分を犠牲にしてその女性を守ろうとしたわけではなく、危険を顧みずに人命救助に当たったわけでもないと思います。
(中略)
職務を遂行する中で殉職してしまったことは、決して誇るべきことでも、自己犠牲でもなく、宮本さんは非常に悔しく思っているに違いありません。女性も助かり、自分も助かることこそが宮本さんの最大の目標だったはずです。
(中略)
この国はまた、死ぬことが美しいとか誇らしいとかいう国に戻ってしまったのでしょうか。そして、我々はそれを受け入れるのでしょうか。
警察官だとか公務員だとか日本人だとか、そういう肩書きではないと主張する人もいました。
宮本邦彦巡査部長の死:公僕とは宮本さんは警察官だから命を賭して救助したのでしょうか?
御本人に確認できなかたので団長の想像ですが、違うと思います。
「宮本邦彦さん」だから救助されたのでしょう。
宮本さんが亡くなられて1年。
勤めていた交番には記念碑が設置されました。
一周忌コンサートでは作曲家田島篤さんによる楽曲に地元板橋区住民から寄せられた歌詞をつけた「その勇気を忘れないで」という楽曲が発表されたそうです。
また、宮本さんのエピソードを元にした絵本の出版も始まりました。
こうした活動は賛否両論でしょうが、ブログでの反応の多さが示すように、宮本さんの行動は多くの人の心を動かしたのは間違いないようです。
また、こうした活動の記事を見て行くと、普段から地元の人たちとのコミュニケーションを密にし、みなさんから「宮本さん」と名前で呼ばれ親しまれたおまわりさんだったことがわかりました。
市民から信頼される警察は、きっとこういうところから作られていくのでしょうね。
いろいろ言いたいことはありますが、ひとまずは宮本邦彦さんの魂が安らかにあることを、祈りたいと思います。
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