一人で作り上げたという尋常ならざる5人の鬼才・天才建築家
芸術家というのは変り種が多いものですが、反映されるのは絵や音楽に限りません。
建築家もかなり風変わりな人が多いようで、いろいろな面白い建物が創り出されています。
天才と馬鹿は紙一重なんていいますが、ここに紹介するのは天才・鬼才と呼ばれる、いったい頭の中はどうなってるんだと不思議になるほどの建築家たちとその作品です。
一般の建物はたくさんの人手を要します。建築プランの想定から、デザイン、着工する作業員など、所要人数は決して少なくはありません。
しかしながら、今から紹介する建物はその全てをたった一人でやり遂げたという建物ばかりです。何十年あるいは一生を費やされて建てられた、風変わりで独創的な味わい深い建築をご覧ください。
1.シュヴァル(Facteur Cheval)の理想宮
シュヴァルは大人しい郵便屋さんだったそうで、昼は郵便物を配り、夜は建築の世界に魅せられ、コツコツとたった一人でこの傑作をつくりあげたのです。彼は建築の勉強をしたこともなく、正式なデザイン知識もなく、自分で建てながら学んでいったそうです。何十年もかけたあと1900年初期に完成しました。1万日以上もかけ、完成するまではほとんど誰も知らなかったそうです。
2.ニコライ(Nikolai Sutyagin)の木造摩天楼
ロシア生まれのニコライがこの驚くべき建物に着手した時は、2階建てでした。その後、上に積み重ね続け、現在は13階、高さ約44mの木造建築となっています。安全面から当局から解体の警告を受けているそうです。彼は小さな建設会社のオーナーでしたが、3万ドル(約300万円)を盗んだ従業員を打ちのめし4年の刑を受けました。最終的に2年で出所しましたが刑務所にいる間に会社は解体してしまい、現在はまだ未完成のその木造高層ビルに妻と娘と一緒に住んでいるそうです。
3.サイモン・ロディア(Simon Rodia)のワッツタワー
サイモンはイタリア移民で、ロサンゼルスに落ち着くまでいろいろな場所を転々としました。とりあえず最初は小さなアートプロジェクトのつもりでしたが、どんどん広がっていき、このワッツタワーと呼ばれる傑作を作り上げるまでに至りました。貝、メタル、破片、陶器、石、ガラス、雑多なもの、使えるものは何でも利用してゆき、約30mの高さまで足場なしに作り上げました。基本の構造はスチール、セメント、モルタル、ワイヤーで組み立ててあるそうです。
4.フスト・ガジェゴ・マルティネス(Justo Gallego Martinez)の大聖堂
マルティネスはスペインの修道士でしたが、結核が原因で破門させられてしまいました。この過激で斬新ともいえる大聖堂は地方自治体の認可もカトリック教会の認可も受けずに始めました。30m以上の高さになってから甥の協力や個人的な寄付を得られるようになってきたそうです。リサイクルされた建築材料などの寄付も受けているそうです。
5.トム・アベリー(Tom Avery)のメタル建築フォーエバートン
世界で一番大きなスクラップメタルの建築物と言えそうです。使われているメタルの重さは約300トンで高さは15mまで届き、奥行き×幅は18m×36mという巨大さです。アベリーは元々廃品回収の仕事をしていて、20年以上前から自分の才能をこの風変わりなメタルの建築に向け始めました。
5 Incredible Works of Insane Architectural Genius: Wooden Skyscrapers to Recycled Wonderlandsより
それぞれ観光地化してくるのも理解できるスケールの作品ですね。
一人で作り上げてしまうなんて人間の能力恐るべしです。
芸術もここまで大型になるとライフワークとなりますが、後世に残るのもこういうものなんでしょう。
マール社 (1997/03)
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いろいろ役に立つ本だと思います。