副流煙の出ない電子たばこ「eシガレット」がイギリスで人気に
喫煙の時代は終わりつつあり、先進国では軒並み禁煙化を促す傾向にあります。
イギリスでは2007年の7月から(ウェールズ地方では4月から)公共施設の建物内での喫煙を違法とする法律が施行されました。
しかしその法律は副流煙が出ない喫煙は認めているため、ロンドンを中心にeシガレット(電子たばこ)という、全く新しいたばこが広まりつつあります。
BBC Newsによると、このeシガレットはバッテリー、蒸発ユニット、ニコチン含有液のカートリッジ、フィルターで構成されており、ニコチンを含む液体を電気的に霧状にした煙を吸う仕組みとなっています。
従来のタバコと違い、タバコの葉やタールは一切含まれず、一酸化炭素や副流煙が発生しないため、建物内での喫煙が可能とされています。
建物内で吸えるという利点から、イギリスでは1年前に販売が開始されてから、ここ数ヶ月で売上げが急上昇し、40ポンド(約6800円)のスターターキットを1ヶ月で1400セットも販売した会社もあるそうです。また交換用のリフィルカートリッジも販売数が急増しています。
これに対し専門家から、霧状になったニコチンを直接吸引する仕組みの安全性や、この種の製品に対する規定がまだ何ら定められていない事に対して懸念の声が上がっています。
またいくつかの組織や健康に関するキャンペーンを行うグループは、この新しい製品についての情報が不十分であることを指摘しています。
その組織のうちのひとつ、WHOのダグラス・ベッチャー氏は、この製品のカートリッジに、ニコチン以外のどんな成分が含まれているのかが明らかにされていないと警告を発しています。
またASH(アンチ・スモーキング・グループ)のデボラ・アーノット氏はこれらの製品が中国で生産されていることを挙げ、品質の問題を指摘しています。
この事から、現状では安全な検査済みのニコチンガムやニコチン・パッチを利用するよう呼びかけています。
eシガレットを販売する企業の取締役であるジェイソン・クロッパー氏は、ネズ ミを使った実験では害があることが認められなかったため、従来のたばこよりは 健康的であると主張しています。
しかし、人体による臨床試験は行われていないため、安全性の検証はまだ充分とは言えないようです。
愛煙家は生活習慣に喫煙行動が組み込まれているせいで、ニコチンだけ摂取するパッチやガムでは満足できない人も少なくないそうです。
その点、この新しいeシガレットは両方の欲求を満たし、かつ周りに迷惑をかけないという画期的な製品なのですが、喫煙者に対する安全性がきちんと確保されていないという点が、何とも惜しい限りです。
でもよく考えたら、もともと有害とわかっててたばこを吸っている訳ですし、リスクを承知で吸ういという点では今までと同じなのかもしれませんね…。
BBCのニュース映像はコチラからどうぞ。