「神は存在しない」イギリスで無神論者の挑戦的なバス広告、意外な反響が
「神は存在しない」と掲げる、無神論者のキャンペーン広告が、ロンドンのバスに登場しました。
宗教色の比較的強いイギリスで始まった挑戦的なキャンペーンですが、実際にこの広告を展開したところ、思いもよらぬ反響があったそうです。
このキャンペーンは、イギリスの無神論者のグループである、英国ヒューマニスト協会(British Humanist Assosiation)が始めたもので、バスの広告には、「神は多分存在しない。心配するのはやめて、人生を楽しみなさい。」というメッセージが大きく書かれています。
キャンペーンの当初の目標は、広告費2750ポンドを含む、計5500ポンド(約88万円)の寄付を募ることだったのですが、開始からたった1日で、目標の約5倍にあたる31000ポンド(約496万円)の寄付が集まりました。
「無神論者にとっては、宗教のポスターそのものが、永遠の呪いで脅しているようだ」
イギリスのコメディ作家、アリアン・シェリン氏が発したこのコメントが、キャンペーンを始めるきっかけとなりました。
英国ヒューマニスト協会のハンネ・スティンソン氏は、「募金がさらに集まるようなら、バスの中や地下鉄にまで広告を広げていきたい」と語ります。
寄付金が多額であったことから、予想以上に無神論者が多かったのかと考えられましたが、意外にも宗教団体からの寄付も含まれていました。ただその意図は賛同によるものではなく、このキャンペーンにより、信仰者が神の存在を改めて実感するであろうという考えによるものなのだそうです。
このキャンペーンに関わる広告会社はあくまで中立的な立場を取っており、神の存在を認める内容であれ認めない内容であれ、法律にのっとって商業的な観点で広告の適性を判断しているそうで、このキャンペーンも一般的な広告と同様に扱われているそうです。
2001年に実施されたイギリス政府の国勢調査によると、国内の宗派はキリスト教が71.6%、イスラム教が2.7%、ヒンドゥー教が 1.0%、無神論者を含むその他の宗派は24.7%と宗教色が強いことから、ほとんどの人はこれ程の反響は予測できなかったのではないでしょうか。
下手をすると反社会的とも捉えられかねない過激なキャンペーンでしたが、社会や宗教団体の寛容な反応は、さすが紳士の国イギリス…と、改めて実感する結果となったようです。
Atheist buses ready to roll across country after making £31,000 in a dayより
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日本人にはあまり危機感のない話なので、肩の力を抜いて読もう
論争めいた部分のみに注目してはもったいない―美しく謙虚な人間賛歌―