生き埋め恐怖症のおじいさん、自分の墓を大改造
誰にだって怖いものはありますが、特定の何かに異常に反応してしまう恐怖症というものがあります。
高所恐怖症だとか、閉所恐怖症だとか、そんな風に呼ぶわけですが、あるおじいさんは生き埋め恐怖症で、若い頃から生きたまま埋められるという強迫観念に怯えてきたそうです。
老い先も短くなり、墓場行きもいよいよ近くなってきたおじいさんには大きな問題です。
もし死んでしまったら…そして埋葬されたあと実は生きていたら…
そんな不安が胸をよぎり、生き埋めされたときのためにこんなものを作ったのです。
ブラジルに住む73歳のフロイド・デ・メロさんはイチジクの木の近くに自分の埋葬地を作りました。ところがその地下に設置したのは、テレビ、飲み水、食料貯蔵室、さらに、新鮮な空気が外から流れてくるように5つもの空気孔パイプまであるのです。
ついでに助けを求めるためのメガフォンまで用意してあり、外壁を通り抜けて声が外に響くように出来ています。
最近の土曜日にデ・メロさんは、棺おけに横たわり、そのメガフォンに「生きたまま埋められた、助けてくれ」と大声でどなりました。もちろん自分で作った装置のチェックをするためです。
彼はとにかく生き埋め恐怖症がひどいらしく、常に埋められたところから何とか抜け出そうともがく悪夢を見るのだそうです。
この生き埋めされてもなんとか生きながらえるように作られた彼専用の墓地は、周囲の人々の間で語られるようになっているそうです。
彼の恐怖症は病的だとしても、生き埋めにされてしまうというのは確かに恐怖であり、ホラー映画などでよく利用されるエピソードではあります。
この生き埋めの恐怖は18〜19世紀のヨーロッパでチフス、コレラ、ペストなどの伝染病が流行したとき、まだ当時は未完成の薬のせいで仮死状態に見えるために、生き埋めにされる人が続出したことから始まっているようです。さらにその当時から、フィクションなどでよく登場するようになり、エドガー・アラン・ポーは生き埋めにされる恐怖の短編小説を書いています。
ジョージ・ワシントンが遺言に自分が亡くなったら3日は埋葬をしてはいけないと伝えているのも有名な話です。童話作家のアンデルセンは外国へ旅行するたびに、ホテルのドアに「死んでません」という札をかけていたそうです。
19世紀の終わりごろには、大衆の生き埋めパニックは医療の改善や、医薬品の開発により次第に衰えていきましたが、まれに死亡と診断された人が生きていたというケースは存在します。
デ・メロさんがいつごろから悪夢を見るようになったのかは定かではないようですが、52年以上結婚している妻によると、彼女と知り合った時はすでに生き埋めを恐れていたと言うことです。
今回作った埋葬地は実は2つ目のものらしく、3つ目を作る予定で、さらに快適にする予定だそうです。まだそのうちのどれに埋葬されるかは決定していないようです。
現地ではテレビに取り上げられるなど有名で、彼はリゾート地を経営しているので、使用しなかった埋葬地は寄付する予定とのことです。
A Man Called Freud Can't Keep His Phobia Buried - WSJ.comより
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