郵便物を自宅に溜め込んでいた郵便局員が、ヒーローと賞賛された理由
郵便配達員は、文字通り郵便物の配達が仕事です。
当然配達されなければ、大問題になります。
アメリカのノースキャロライナ州の郵便配達員が、かなり多くの郵便物を配達せずに、自分のガレージに山のように積み上げていたとして逮捕されました。
ところが地元の住民から、クレームは一切出なかったのです。
なぜかというと…
スティーブン・パジェット58歳は、ぽっちゃりした穏やかな配達員でした。
Los Angeles Timesによると、糖尿病や心臓病を患う彼は、あまりの郵便物の多さにダイレクトメールだけ排除することにしたそうです。
そして彼は広告や宣伝の手紙だけを仕分け、家のガレージに積んでおきました。
もちろん普通の郵便物はきちんと届けていたので、誰にも気づかれずに7年が過ぎたのです。もちろん不達のクレームも1つとしてありませんでした。
逮捕されるきっかけとなったのは、誰かがゴミの中から大量の未配達の手紙を見つけたためでした。
郵便局は地域の住民らに未配達があったことを知らせたのですが、その件に関して住民から帰ってきた回答は1通のみで、それはむしろパジェット氏に感謝の気持ちを示したものだったのです。
その手紙を書いたケナ・レインハートさんは「彼を責めるべきではなく、讃えるべきだ」と書いていたのでした。そのことを知った他の人たちも彼に同情的で、「むしろいい仕事をしていた」とか、「彼は誰も傷つけてはいない」などの手紙が舞い込み始めたのです。
彼は起訴され、最高5年の禁固刑と25万ドル(約2400万円)の罰金もありえましたが、判事は執行猶予3年、3000ドル(約28.5万円)の罰金、500時間の社会奉仕活動だけとしました。
ただしダイレクトメール協会や郵便局は、当然ながら彼に対して厳しい目で見ているようです。
見つかった多くのダイレクトメールの中には請求書や普通の手紙は一切なかったそうですが、さすがに郵便配達員の仕事は解雇されました。
一般人としては邪魔なダイレクトメールがフィルタされるのはありがたいと言えますが、費用をかけて送っている企業や、郵便局の信頼問題、経済効果など、やはりプロの仕事として問題があります。
ですが、見事にダイレクトメールだけを分けていたという、ある意味まじめ?な仕事振りは、他にもっと適職があるかもしれません。