アラル海が消えた…20世紀最大と言われる環境破壊
カザフスタンとウズベキスタンにまたがる中央アジアの塩湖、アラル海が消えようとしています。
たった数十年前の1960年代には世界4位、琵琶湖の100倍の面積を誇った湖でしたが、綿花栽培などの灌漑用水に大量の水を使用したため急激に水位が減り続け、ついには8割以上が干上がってしまったのです。
不毛な砂漠と成り果てたアラル海の姿をご覧ください。
Photo:NASA
左が1989年、右が2003年のもの。エメラルドグリーンの場所は水位が下がって浅いことを示すそうです。
1989年は平成元年であり、たった20年での出来事です。
そしてこれが今年撮影された2009年のアラル海。なんとも衝撃的な姿です。
黒い線は1960年の姿を表しています。日本でいうと関東甲信越と静岡を合わせた程の面積。
分断された北側を小アラル海、南側を大アラル海と呼びますが、南側の縮小は止まらず、存続は絶望視されています。
シルダリヤ川からの流入がある北側の小アラル海は、百億円のダム建設によって水位が回復傾向にあるそうです。
冷戦真っただ中の旧ソ連のスターリン時代は、西側諸国に頼らない生産力を得ること、社会主義の素晴らしさを喧伝することなどを理由に、「自然改造計画」として運河・水路の建設が推進されていました。
当時は科学が自然を凌駕するという、科学万能主義の時代であったことが、無謀な計画に拍車をかけてしまったようです。
白い部分はおそらく塩。枯れた周辺地域の温度は1.5度上昇したそうです。
1960年頃のアラル海は海洋の1/10の塩分濃度だったそうですが、1989年の時点で塩分濃度が6倍を超え、生物の大半が死滅したそうです。
また、周辺地域の住民は巻き上がる砂塵によって呼吸器障害を起こすなど、20世紀最大の環境破壊と言われるようになりました。
かつては大漁であった湖が、たった数十年で人の生きることのできない不毛の荒野に。
大アラル海の再生には、数多の科学者・研究者が助言や取り組みを行いましたが、さしたる効果は出なかったそうです。
このことを揶揄したジョークに「これまでアラル海を訪れた研究者がバケツ1杯ずつ水を持参してきてくれていたら、今頃アラル海は元の姿に戻っていただろう」というものがあります。(参照)
一度失った環境を取り戻すことが、いかに難しいかをまざまざと示していますが、大きな教訓と出来るのでしょうか。
Damn Cool Pics: The Shrinking Aral Sea, Aral Sea : Image of the Day
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世の中知らないことばかり、聞くは一時の恥ですが。
IPCCも政治の場、簡単な概算で裏が分かるのに、何でやらないの?
ほんとうは政治問題
論点盛りだくさん