薄毛や脱毛に必要なのはお金ではなく正しい知識:書評「育毛の真理」
育毛セールスの本ではなかった
「育毛の真理」(以下本書)を手に取ったとき、「ああ、きっと育毛のためにあれを買え、これを買え、といったセールスまがいの本なのだろうな」と思っていました。
薄毛や脱毛といった、当事者にとって大きなコンプレックスを煽り、不安につけこんで高い商品を買わせよう…という悪質な業者も少なくないので、その種のものだろうと偏見を持っていたためです。
ところが実際に読んでみると、そんな偏見とは全く違った、目からウロコの内容でした。
まず、きちんと理解すること
本書のスタンスは、まず発毛のメカニズムについて正しく理解するということ。どのようにして発毛が起こるのか、どうすれば発毛に良いのか、何が薄毛の原因なのか、ということに重点を置いて、イラストを交えてわかりやすく解説しています。
読み進めてみると、そこに書いてあることは劇的な効果がある派手な方法では決してなく、毎日の生活習慣の改善、間違いなど、読んでみてなるほどと思ったら即実行できそうな事ばかり。
私の場合は髪が細く、地肌がちょっと目立つので気になっていたのですが、なるほど、これが原因なのかな…?と思えるような、間違った習慣がいくつかありました。
特に重要と感じられたのは、洗髪のしかた。本書に書いてある髪の洗い方を読んでみると、今までこうすべきだったと思っていた自分の中の常識が間違いだと説かれていました。
なぜそうなのか、という理由の説明もわかりやすく、早速読んだその日から洗い方を変えてみることにしました。
改善を焦ってはいけない
もし薄毛になったとき、まずどうするでしょうか。
人にはなかなか相談しにくいことですし、と言って放置するわけにはいかないので、専門の業者に相談するという人は多いでしょう。
しかし専門業者にも悪質なものもあり、中には無知と不安に付け込んでひどく高額な商品を買わせたり、高額な契約を迫るところも少なくはありません。
著者の元には、こういった業者でひどい目にあってしまった方が相談に訪れることも多いようで、各章で時々書かれているエピソードを見ると、無知ゆえに余計に症状が悪化してしまった痛々しい事例が綴られています。
焦ってすぐに行動に移し、業者の言葉をすべて鵜呑みにするのが危険であることは、薄毛にかかわらずどんな場面でも言えることです。
本書で説かれていますが、やたらお金のかかる方法が必ずしも良いとは限りません。効果があるからこれだけ高いのだろう…とつい考えてしまう人の心理は、時に間違った判断を下します。
事を急がずにまず正しい知識を持ち、冷静に物事を捉え、考えようという本書のスタンスは、とても共感できました。
あまり悩まないこと
本書からの受け売りですが、薄毛、脱毛の原因に、ストレスがあります。
これからどうなってしまうんだろう、いつ髪がなくなってしまうんだろう、どうしたらいいんだろう…と不安は、それ自体がストレスになり、余計に症状を悪化させてしまいます。
また、悩んだ末にいろんな手を尽くし、不要な措置で余計に悪化させてしまう例も多数紹介されていました。どうしていいかわからないという漠然とした不安が、さらにひどい状況へと追い込んでしまうこともあるようです。
やはり大事なのは正しい知識。大きな悩みでも、原因がなんなのか、どうすれば解決できるのかということがわかれば、気持ちはとても楽になります。
本書はその薄毛に対する不安を解き、安心感が得られる構成になっていて、読み終わってみると、当初の髪への不安はかなり軽くなっていました。
今、薄毛や脱毛に悩んでいる人に
本書は新聞やラジオ局などでも取り上げられ、実用書としては珍しく増刷までされるという人気なのだとか。帯には、東京大学医学部教授推薦と、名前を挙げて明記されています。普段、そういった触れ込みは真に受けないのですが、実際に読んでみた限りでは、単なる煽り文句ではなさそうでした。
髪の問題で漠然とした不安を抱えている方には、まず心の平穏を取り戻し、正しいケアを知るための1冊として、価値があると感じました。
不安にかられてヘアケアにいきなり物凄い投資をするくらいなら、まずほんの1,260円だけ出費して、じっくりと一読してみてはいかがでしょうか。
育毛の心理 著者:東田雪子
発行:角川学芸出版 発売:角川グループパブリッシング
ISBN:4046216514 / 978-4046216519
>>ルチア(著者サイト)で詳細を見る >>Amazonで詳細を見る