自殺を許可された女性、理由は遺書に「反対する医師を告訴する」
安楽死と言うと、いまや世界で是非を問われている難しい問題です。
尊厳死との境界線をどう引くのか、決定はどこで下されるのか、議論すべき問題はいくつもあります。
イギリスで医師が女性の自殺を許可したのですが、なんとその理由は遺言の内容に、邪魔をする医師を告訴すると盛り込まれていたから、というものでした。
ケリー・ウールトートンさんは不妊症でうつ病でした。服毒自殺を図り救急車で運ばれたのですが意識はあり、手紙を医師に渡し、医療スタッフに彼女の生命を助けずに楽になることだけを望みました。
医師らによると彼女の意思は非常に明瞭で、彼女の望み通りにするより他の選択はなかったと伝えています。
治療拒否の意思表示も、自分で何をしているかはっきり理解している精神状態にあったといい、遺書を使って自殺を試みるケースは初めてだったとのことです。
ケリーさんの家族は、許可を出した医師を批判しており、生命を救う治療をすべきだったとしています。
尊厳死のガイドラインによると、不治の病などに冒された患者の自殺幇助をする者は、経済的な見返りがないかぎり、ほとんど刑事責任を問われないと言う内容になっています。
このリビング・ウィルと呼ばれる遺言書は、生きている間に尊厳死に対して治療の打ち切りを希望をするなどの意思表示のことで、2005年から導入されています。新しい法律が作られるまでは、医師らは類似したケースに直面することが増えるのではないかと専門家は見ています。
リビング・ウィルは患者がこのような自殺に利用されるべきではないと警告するキャンペーン活動も行われており、これからも物議を醸しそうです。
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