Wikipediaに実名が載っているのはプライバシーの侵害…殺人犯が訴える
犯罪者のプライバシーと言うのはどの程度まで守られるべきなのでしょうか。
被害者や加害者家族のプライバシーがあまり守られていない実情を思えば、加害者は割と守られている方かもしれません。
有象無象の情報があふれるインターネットですが、フリー百科事典であるWikipediaには、ありとあらゆる項目がまとめられています。
そこに犯罪者の情報が載っているのはプライバシーの侵害であると、ドイツの殺人犯が訴え出ました。
訴えたのは1990年に俳優を殺害した二人のドイツ人で、犯行の詳細がWikipediaに載っていることは、彼らのプライバシーの侵害にあたるとしています。
二人の男性は殺人を犯したことで名を知られ、1993年に刑務所に入り、それぞれ2007年と2008年に出所。この事件は有名人が絡んでいることから、すぐにネットに公開されました。
ところがドイツの裁判所は、「刑期を終えた後はニュース等で彼らの名前を伏せることを許容する」という判決を下しています。
服役後は社会制裁を受けることもなく、普通の社会生活を送る権利があると彼らの弁護士は伝えており、犯罪者にもプライバシーの保護や、生活を守る権利はあると主張しています。
すでにドイツ語のWikipediaからは二人の名前が削除されましたが、他の言語には残っており、英語版からも削除するよう要求する訴えを起こしています。
この件についてWikipedia側は、一年以上にわたり削除すべきか検討してきましたが、米国憲法修正第1項の「言論の自由」条項と、ドイツの決定したプライバシーの保護の権利が重なっているため、そのままになっていたようです。
アメリカ側の弁護士は、「表現の自由や歴史上の真実を知る上での記事では、人々が正しい情報を記載することが許されるべきで、外国の圧力がアメリカで発行されているコンテンツを検閲すべきではない」としています。
問題は歴史の正確さにあると伝えており、管轄区域ごとの法が発行物を検閲できるようになってしまえば、もはや信頼に値するものを読むことはできなくなると警告しています。
最終的に削除されるかどうかはわかりませんが、今後のインターネットの在り方について一石を投じることになりそうです。
Wikipedia sued by German killers in privacy claim | Technology | guardian.co.uk