手描きとパソコンの見事な融合…イラストにも仕事にも適した最強ツール「ぺんてる airpen:Draw」
今月15日に東京ビックサイトで開催された、Pixivマーケット。
この会場で、ぺんてるから11月21日に発売されるデジタル描画ツール「airpen:Draw」のデモンストレーションが行われました。
元々ビジネス向けだったairpenの便利さはそのままに、イラストにも使えるように最適化した新製品なのですが、デモンストレーションで初めて知ったairpenの性能に、本気で驚かされました…。
プレゼンターに、メジャーアニメ作品を数多く手がけるアニメーターのりょーちも氏を招いたイベントの模様をレポートします。
デモンストレーション開始前の会場の様子。イベント開始直前で、バックヤードは慌ただしくなっていました。
ぞくぞくと集まってくるギャラリー。
13時より、いよいよデモンストレーション開始!拍手の中、アニメーターのりょーちもさんが登場。
りょーちもさんは、ゲーム会社を経てアニメーターとしてデビュー。アニメ「ノエイン」を手がけた後、「鉄腕バーディー」の原作者の目に止まりキャラクターデザイン、総作画監督を担当された、その世界では有名な方。他にも有名作品を色々と手がけているのだそうです。
早速デモンストレーションを始めるりょーちもさん。
今回デモを行うairpen(エアペン)は、専用のボールペンで紙に描いた絵がそのままPCに取り込めるという、すんごく便利なツール。
元々ビジネス用として販売されていましたが、今回イラスト向けにカスタマイズしたモデルを11月21日に発売するのだそうです。
描きながらアニメーターとしてのエピソードを色々と話してくれるりょーちもさん。
りょーちも氏「鉄腕バーディーの時は、総作画監督という監督の次に偉いポジションで、描いた後にどうなる、撮影の後どうなるなど、(工程を)全部見せてもらえて勉強になったのが印象に残ってますね。
キャラクター的に一番印象に残っているのは、ノエインという作品に出てくる『上乃木ハルカ』というキャラクターですね。岸田隆宏さんというキャラクターデザインを担当していた原画家さんが描くハルカがすっごくかわいくて、それを描くのが楽しくてしょうがなかったんです。」
司会「で、ハルカちゃんは…」
りょーちも氏「ハルカちゃん…描けと!?」
司会「見たいですよね皆さん?ほら、見たいって言ってますよ!」
りょーちも氏「ちょ、ちょっと待てよぉ!」
と、無茶な振りにも応えるりょーちもさん。描くのは久しぶりで、前もって言ってくれれば練習しとくのに〜と言いつつも、しっかり描くのはさすがプロ。
司会「久しぶりですか?ハルカちゃん描くの」
りょーちも氏「そうですねー、もう全くと言っていいほど描いてなかったですからね。」
司会「やはりお仕事が終わるとあまり描いたりは…」
りょーちも氏「たまに落書きで描いたりはします。最近は…アニメーションの仕事をするようになってから、段々落書きの時間が減ってですね…問題なんですよ。しばらく描かないと描けなくなってくるんです。描いてる分だけ絵は育つので、描き続けた方がいいと思います。」
そしてイラストはどんどん進行。さすが上手いです。
見ていると、描く時は殆ど紙ばかり見ていて、画面を殆ど見ていません。通常のペンタブレットだと、手元を見ずに画面を見ながら描くので慣れないと違和感を感じるのですが、これなら普通にイラストを紙に描いているのと変わらないようです。
普通に紙に描くように、角度をくるくる変えながら描けるのもペンタブレットにはなかった特徴。これは描きやすそう。
ここでアニメーションでの描き方のコツについて解説。
りょーちも氏「これは上手いアニメーターさんに聞いたんですが、全体の骨から考えてポージングを決めるっていう描き方もあるんですけど、ぱっとイメージして、輪郭線を手の配置とか気にせずに描いていくと、画がまとめやすくなるんです。
もちろん骨格のずれとかは発生するんですけど、画というのは骨格を正しく描くよりも、浮かび上がったイメージをまとめるのが重要で、ずれてても画としては成立するんです。
アニメーションという観点から見ると、動いているという認識を重視すると、アウトラインから描く方が効果的なんですね。」
そしていよいよ完成!紙と画面上はほとんど同一になっています。
原画と取り込まれたイラストの比較はこちら。
左:原画 右:airpenでパソコンに取り込まれたイラスト(クリックで拡大)
これはすごい…、殆ど違いがありません。拾い損ねた線も特に見あたりませんし、ずれているところも見た感じでは無さそうです。
取り込まれたデータは、各種画像形式での出力に対応。ベクタ形式のSVGにも対応してるので、イラストレータなどで更に加工をするにも便利そうです。また後述の文字認識機能を使うと、テキストファイルやCSV形式にもできるそうです。
質問タイムの後、無事デモンストレーションを終えておじぎをするりょーちもさん。お疲れ様でした!
その後、来場者による試し描きをしていたのですが、これは来場者が描いたイラストの一部。れ、レベルが高い!恐るべしPixivユーザー。
大きい画像にできないのは色々大人の事情があるということで…。
ビジネス用途でもほぼ完成された使い勝手
デモの後本気で欲しくなってしまい、製品について色々と聞いてみました。airpenはもともとビジネスツールで、仕事の上で便利な機能を備えているのだとか。その中でもやはり凄いのが手書き認識。
まずは手書き文字認識のデモンストレーション。手書きの文字はかなりクセがありますが、認識率はかなり高いようです。キーボードで打ち込むより手で書いた方が速いよ!!というパソコン慣れしていない世代の方にもかなり便利かも。
でもそれって私の汚い字じゃ無理なんじゃないの?と、試しに実際に書いてみました。汚い字でざざっと速く書いてみたのですが、きっちりと取り込まれ、間違いなく認識されました。これは凄い…。
書いた感じも普通のボールペンと全く同じ感覚。紙に押しつけた時に内部のスイッチが押される構造なのですが、書いていてスイッチを押しているような感覚は無く、普通のボールペンと言われても疑わないほど。
こちらは手書きの表を認識するデモ。これを表として認識させると…
そのまま表に!?手書きの文字もきちんと認識され、さらっとデータをExcelに貼り付けていましたが凄すぎます…。
更にデモでは、部分的にテキストに変換し、イラストはイラストのままでワードにエクスポートしていました。簡単な資料ならこれでいいじゃないかと思える簡単さ。
パソコンだとささっと図を描けないのがいつももどかしかったのですが、文字だけテキストに変換してワードにエクスポートするのを見て目からウロコ。今までの面倒くさかった時間を返して…!
他にも、予め印刷されたアンケート用紙などに記入されたテキストや絵を取り込むフォームモードもあるのだとか。街頭でのアンケートや、店舗での受け付けシートの記入など、色んな場面で活躍しそうです。
タブレットとして使えるオンラインモード
USBでPCに接続して使うと、タブレットとして使用できます。ペンには右クリック用のボタンも装備。
ペンを少し浮かせていても位置を追従してくれるので、マウスの代わりに使うにも便利そう。先端もボールペンから樹脂のユニットに交換すれば、普通のタブレットのようにも使えます。もちろんフォトショップやイラストレータなどの主要ツールでも使えます。
プレゼンで画面上の資料に手書きでマーキングしたり、手書きで図を描いて説明…といった用途にも活躍しそうですね。
PCがなくても使えるオフラインモード
airpenの凄いのはやはりオフラインモード。本体を外に持ち出し、PCなしで紙に書いた情報を記憶することができます。営業や取材、外に持っていって景色を描いたりといった用途にも便利そうです。
airpenセンサー部:電池駆動でPCレスで使用できる。ページ送りボタンやインジケーターを装備。
PCにUSBで接続すれば、描きためたデータを一発で転送。本体内にA5サイズで60ページ相当を記憶できるメモリを内蔵。バッテリーは単4電池とボタン電池で、持続時間は連続筆記で約90時間と十分な性能です。モバイルPCでメモしようとすると、電池が持たない事がよくあっただけに、魅力的な性能です。
airpen:Drawはイラスト向けに最適化
今回発表されたairpen:Drawは、ビジネス用だったairpenをチューニングし、イラスト用途に使いやすいように最適化したもので、基本性能が従来モデルと異なるのだそうです。
大きな違いとして、素早いペンの動きを取りこぼさないようにするためにサンプリングレートを約1.5倍(秒間89ポイント)に、更に繊細なタッチを拾うために、ペンのスイッチの感度も、これ以上上げると振っただけで反応してしまう…というギリギリの感度にしたそうです。
使ってみた感じでは力を抜いて描いても反応してくれて、とても描きやすく感じました。
メモやイラストはやっぱり紙が描きやすい!という人に
airpen:Drawの発売は11月21日。ビックカメラやヨドバシカメラなどの大手家電量販店で実際に触って試せるデモ機も用意されるのだそうです。
機能を知れば知るほど、便利に使えそうなシーンが次々と浮かんでくる恐ろしい程の魅力。そしてかゆいところまで手が届く、惜しみない丁寧な作り。これほどのツールにはなかなか出会えません。
イラストはもちろん、ビジネス用途にもグッと来た方は、店頭で試してみる価値ありです。手描き派の人には特にオススメ!
製品の詳細は以下からどうぞ。