全米が注目…同じ殺人事件で6回も起訴された男性
裁判において殺人事件などの凶悪事件は特に慎重に扱わなくてはいけないものですが、アメリカで同じ殺人事件で6回も裁判にかけられている男性がいました。
過去13年間に5回も同事件の裁判が行われ、今回が6度目の出廷として大きな注目を浴びています。
いったいどんな事件だったのでしょうか。
事件は1996年の7月16日にさかのぼります。
ミシシッピ州のとある家具ストアで、店主のバーサ・ターティさんとそこで働くスタッフの3人が銃で頭を撃たれて亡くなりました。
たった5500人ほどしかいなかった穏やかな町はそれ以来人口が減り、寂れつつあるようです。
ターディズ・ファニチャー・ストアーと呼ばれたその家具店は1942年創業で、小さな町だけに店の夫婦のことを誰もが知っていました。
事件後、多くの聞き取り調査や情報提供に3万ドルの懸賞金が用意され、その結果1997年1月にカーティス・フラワーという黒人の男が逮捕されました。
逮捕以降、現在進行中の裁判を含むと6回も陪審員の前に立っており、現在までに3回の有罪判決、2回の死刑宣告を言い渡されています。
ところがミシシッピ最高裁判所では、過去のそれらの評決を覆して裁判のやり直しを求めているのです。直近の2つの裁判では陪審員たちの意見が分かれ、判決に至りませんでした。
検察側は状況証拠を提示したものの、DNAや犯罪に使われた武器などの物証はなく、フラワーズを見たという証言者の発言にも矛盾があったりと、どれも有罪を決定付ける材料として乏しいことが原因となっているようです。
有罪を主張する側は、家具店に勤めていたフラワーズは事件の2週間前に解雇されており、動機は元雇用主に対する怨恨であるとしています。
フラワーズの無罪を主張する側は、人種差別の問題を挙げ、証拠などが取り揃わないまま彼が標的にされたという見方をしているようです。
彼を弁護した一人も同じ状況証拠で白人だったなら、裁判で有罪になることはないと主張しています。
過去5回の裁判では、同じ家具店で開業以来勤務していたサム・ジョーンズが証言をしています。彼の証言は「7月16日の朝9時に店主のバーサから電話があり、新しいスタッフ研修のために呼ばれたので、9時半に到着すると4つの死体を見つけた」というものです。
事件は人種差別問題にまで発展しており、陪審員の選択方法から大きな注目をあつめ、議論も過熱しているようです。
海外サイトのコメントにもありましたが、人種問題などが絡む場合、いっそ全員がアジア人といった陪審員選定の方がいいといった声もあがっています。
日本の裁判員制度も導入されて歴史が浅いですが、今後似たような問題点が出てくるかもしれません。
Mississippi man faces sixth capital murder trial in 1996 shootings