大地震で人が離れたチベット、冬虫夏草の価値によって再び人が集まる
世界には地域特有の植物や菌がありますが、それが人の健康に効果があるならば、当然高値で取引されます。
4月14日に大地震のあったチベットでは一度人が離れたものの、高原で採れる特産品である漢方でも知られる冬虫夏草の価値が高まっているとのことで、再び人々が集まっているそうです。
このチベットの変わった特産品は、冬虫夏草(とうちゅうかそう)として知られています。学名はCordyceps sinensisと呼ばれ、菌類の一種です。
チベット高原やヒマラヤに生息する蛾の幼虫に寄生する菌で、残虐な寄生菌なのであまり気持ちのいいものではありませんが、漢方では伝統的にガンに効く生薬としても利用されており、またヒマラヤのバイアグラと呼ばれて珍重されてきました。
非常に高く売れるため採取の争奪戦になりつつあり、絶滅の心配もされているほどだそうです。
この菌は蛾の幼虫の養分を利用して幼虫の体内で成長し、冬にはその幼虫の外観を保ち、夏にはそのまま地面から生えてくることから、冬虫夏草の名前が付いたようです。
この菌が東洋から一躍世界へと知られたのは、1993年にドイツで開催された世界陸上選手権で、それまで無名だった3名の中国人女性選手が5つの世界記録を塗り替えたことから始まります。
その時に選手たちを率いていた馬俊仁"Ma Junren"コーチが冬虫夏草を選手たちに飲ませていたと伝えたことで、この生薬が一気に注目されることとなりました。
西洋医学の見地から効能を調べたところ、肝臓を守る働きがあるのではないかと見られています。中国では以前から医薬品として医師が処方していましたが、高級な贈り物として重さあたりの価値は金と変わらないと言われています。
地域の唯一の収入源ということもあり、需要の高さから殺人まで起きたことで、政府も冬虫夏草に対する収穫規定や調査に乗り出しているようです。
実際のところ効能がどれだけあるかは定かでないですが、虫に寄生して育つ菌にこれほどの価値が生まれていることは、健康を求める人の多さが伺える話ではあります。
Fungus gold rush in Tibetan plateau rebuilding lives after earthquake
文一総合出版
売り上げランキング: 168170


