メキシコを侮辱したとBBC放送が謝罪…でもイギリスらしく皮肉めいた文面だと話題に
先日、イギリスBBC放送が原爆被害者をジョークにしたことを謝罪するニュースがあったのはご存知の方も多いと思いますが、その後、トップ・ギアという世界中で人気の車番組で、メキシコの車をこき下ろしたことから、メキシコからも抗議を受けていました。
英BBC、「怠け者」発言でメキシコからも抗議 | Reuters
これを受けて番組側は謝罪をしたのですが、そこは皮肉とジョークの国、イギリスらしいものだったのです……。
もともとBBCでは特別な自動車会社のスポンサーがあるわけではないので、この番組ではメキシコに限らずどこの車もよくけなされます。
正直すぎると言いますか、ブラックジョークも交えた辛辣な言い回しや形容が、人気の秘訣でもあります。
今回はクレームに対し謝罪までしたものの、司会者のジェレミー・クラークソンがちょっとメキシコはユーモアのセンスがないのでは?と謝罪とともにメキシコジョークを添えたのです。
その内容というのが以下のもの。(紙面画像)
先週末、番組トップギアで、メキシコに親切ではない言葉をつい出してしまいました。もっと明確にいうと、この中央アメリカ人のことを怠け者で無気力だと言いました。
さらにメキシコの食事は、吐いたものを揚げ直したようだとも、ロンドンにいるメキシコ大使は寝ているだろうから苦情はしないに違いないとも言いました。しかし実際に大使から苦情があったので、もし彼が寝ていたとすると、きっと誰かが彼を起こし、その苦情によって国際的な問題になったわけです。
(中略)
よく世間の人々は、メキシコ人が得意なことと言えば、ビジネスマンの誘拐とアーノルド・シュワルツネッガーのプールの掃除とヘロインの栽培だけと言いますが、私はそんなことはないとわかっています。なぜなら、私は一度メキシコを訪れ、昼食をとりましたがとてもいい感じでした。そして誰も私を誘拐などしませんでした。しかもウェイトレスがとても美人だったことも覚えています。
そして伝説とも言えるメキシコの工学技術に触れると…。もし私に心臓のペースメーカーが必要になり、例えばスイス製とメキシコ製から選ぶことになれば、絶対メキシコ製のを選ぶでしょう。さらに…(中略)
と言うわけでありまして、メキシコと国民のみなさまへ率直に謝罪する次第です。番組の一部で、怠け者で無気力と呼んでしまい本当に申し訳ありません。もちろん実際は違います。しかしながら質問もあります。みなさんは少しユーモアというのが欠けているのではありませんか。
例を挙げましょう。もう何十年もフランス人たちは我々イギリス人を料理ができないとバカにしてきました。オーストラリア人は我々が風呂に入らず不潔だと言い、アメリカ人は我々の歯が腐った黄色い切り株のようだと言います。
ほとんどのイタリア女性は大きな声で、イギリス人とベッドインするくらいならネズミと入ったほうがマシだとか、中には多分ネズミとあまり差はないとまで言われていますが、それらだってスコットランド人が言ってることよりはマシです。
我々はこれらのどれも気にしません。なぜなら害のないものだからです。そして害がないからこそ、我々のほうもこきおろします。私がフランス人を傲慢だと言うときは、彼らが本当に傲慢で嫌いなので、全員とっとと死んで欲しいという意味ではないのです。私の本当の意味は、「彼らは傲慢だ、さぁビールでも飲もうか」と言いたいだけなのです。
アメリカのコメディアンが指摘していたように、イギリス人だけが友人を紹介するときに、「ビリーを知っているかい?こいつはちょっと最低なヤツなんだ」と言うのです。それが我々です。そして我々は自分たちのこともジョークにします。
(中略)
もちろん無礼なユーモアはすべて禁止せよといった動きもイギリスでは出てくるでしょう。しかし人々がよくわかっていないのは無礼なしにはジョークは成り立ちません。
誰ひとり不機嫌にならないジョークを1つたりとも聞いたことがありますか。
ということで、ひとつ例をここにあげておきます。
問:どうしてメキシコにはオリンピック選手団がないのか?
答:それは走ったり、跳んだり、泳いだりが得意な人はすべて、国境を超えるからです。
司会のジェレミー・クラークソンらしい嫌味まじりの謝罪で、これもユーモアのひとつという感じではあります。
これを読んだ海外の人々の反応を抜粋でご紹介します。
・メキシコ人としてこれに不快になってないだけでなく、めちゃくちゃ…いいと思った。
・メキシコ人として全く気にしなかったさ。でもさすがに今回のメキシコが中央アメリカと思われていたことを見て、僕のユーモアはしぼんだ。イギリス人はメキシコがどこか知らないんだな。ため息。
・これを全部、彼の声が頭に再生されながら読んだよ。クラークソンめ。
・一番のジョークは、イギリス人がメキシコ料理を、吐いたものの揚げ直しって評してるところだろう。
・クラークソンは笑えるだろう。単に自分の思うことを言い、気にしないってだけだ。
・トップギアUSAがくだらない理由は、クラークソンみたいに勇気を持ってメキシコをこきおろすやつが誰もいないからだ。
・別にオレはクラークソンのファンでもトップギアのファンでもないが、どう見てもこれは単なるジョークで、大使が出てくるとなるとこれはメキシコにとっては、めちゃくちゃ恥ずかしい事であろう。
・僕はメキシコ人だがこのメッセージに賛成だ。
・メキシコ人としてクラークソンを許すよ。
・彼が言ったメキシコ人のことは本当だ。さらに彼はアメリカ人のことをこう言ってる。「みんなすごい肥満、みんなすごいバカ、そしてみんなすごい無礼、ホリデイプログラムじゃなくて本当なんだ」
「今夜の新しい車Viper、これはジョージ・ブッシュが大統領に相当するくらい、アメリカ人のスポーツカーに相当する」
「2500万人も一人エッチする国なのに、それを意味する言葉すらない」
「もしこれがアメリカだったら、もうとにかく彼らがやりそうなことを何でも、ほとんどは近親相姦だと思うが、そう言うのをやるヤツでいっぱいになる」
「彼らは愚鈍で、ユーモアはなく、統治されすぎて、ファッションセンスゼロ」
と、こんな感じで他の国も彼がジョークでけなしているのはいくらでも検索できるが、スペースがない。外国人嫌いなのかもしれないが、それなら全員に対して平等だし、笑わせるためにやっているようなもんだ。番組ではそういうキャラだし、失礼でひどいがそれでもおもしろいさ。
お国柄ジョークが満載で言及された今回の問題でしたが、確かに当たらずとも遠からず。
どこの国も何かしらバカにされるところあり、褒めるべきところありなのかもしれませんね。
Stay classy, Jeremy Clarkson. I love this man.
新潮社
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