目からうろこ、工場のトラブルを解決した「ある工夫」が注目を浴びる
エンジニアの仕事はトラブル解決に多くの時間を取られますが、とある歯磨き粉会社のトラブル解決法がためになると話題になっていました。
その内容ですが、歯磨き粉チューブの入った箱が、ときどき空っぽのまま出荷されてしまうことを防ぐというものです。
チューブが入らず空っぽの箱ができてしまうのは生産ラインに問題があり、タイミングなどを調整しても100%箱に入るようにデザインするのは困難を伴いました。
工場にいるエンジニアは手がいっぱいだったので、会社のCEO(最高経営責任者)は経営陣を集め、外部からエンジニアを雇い新しいプロジェクトを立ち上げることにしたのです。
その流れで予算と計画を組み、6ヶ月の期間と800万ドル(約6億円)をかけて質の高いプロジェクトが実施されました。
これによって空っぽの箱ができるたびに重量不足を検知してベルが鳴り、光で知らせるシステムが構築されました。そのたびに生産ラインをストップさせ、人の手で空箱は捨てられます。その後ボタンを押して再びラインが動き出します。
問題が解決するようになってから、しばらくたったある日のこと。CEOがその後のプロジェクトの様子を確認しにきました。
客からのクレームは減っており、市場での売上は伸び、使った金額分の成果が出ていると満足しました。次にどれくらいの空箱が出ているかを示す表を調べてみたところ、3週間にたったの一つもなかったのです。
報告書に間違いがあるのではないかとエンジニアたちに尋ねてみても、それが正しい報告数値だとの答え。実際にコンベアベルトに載っているもので、空の箱はないと言うのです。
疑問を抱いたCEOは工場まで足を運び、ラインの現場を自分の目で確認することにしました。
すると検知する場所の1.2メートル手前に20ドル(約1500円)ほどの扇風機が置かれており、空の箱を吹き飛ばしてはゴミ箱に入れていたのです。
説明を求めると、作業員の一人が答えました。
「ああ、それはベルが鳴るたびにいちいち来るのが面倒だったので、そこに置いたんですよ」
会社が800万ドルの資金と手間をかけて解決したものよりも、普通の作業員がたったの20ドルで、はるかに合理的な解決をしてしまったという例です。
実際はこれほどドラマチックではなくとも、似たようなことは企業ではよくあるのかもしれません。
ここから得られる教訓は「簡単な解決法を知りたい場合は、怠け者に聞け」と言ったところでしょうか。