81歳女性が「蘇生させるな」と胸にタトゥーを入れる
どう生きるかを選ぶことはできても、どう死ぬかを選ぶのは、そう簡単なことではありません。
死期が近づいてきたとき、医療関係者を含め、まわりが助けようと動いてくれます。
ところがイギリスで81歳の女性が、そう言った延命・救命行為を行ってほしくないと、胸にタトゥーを入れているそうです。
イギリスのジョイ・トムキンズさん(81歳)は「死ぬ権利」と称し、もし病気になったとしても医師に助けられたくない表明として、胸に「蘇生させないで」”Do Not Resuscitate"とタトゥーを入れました。
彼女がそんな考えを持つに至ったのは、夫であったマルコムさんの時間のかかりすぎた死を看取った経験からとのこと。
そのため死にそうな状況に陥ったならば、医師が彼女の死ぬ権利を尊重してくれるよう、胸に記すことにしたのです。徹底していることに、背中にも「裏返してください」を意味する”PTO"(Please Turn Over)と矢印付きで入れています。
現在彼女は、関節炎、冷え性、糖尿病などを患っているそうですが、ゆっくり時間をかけて死に耐えることを望んでいません。
「半分だけ死ぬならまるごと死にたい」と言い、「51歳のときなら状況はまた違ったかもしれないけれど81歳の今は助けられずに死んでいきたい」と、権利を主張しています。
ジョイさんの義理の母親は106歳まで生きたそうですが、最後の6年は不幸であり、安らかに死んでいた方が良かっただろうとも伝えています。
医療のプロが、無理して生きていたいと思わない彼女を、何時間、何ヶ月、何年と寝たきりにするのではないかと恐れているのです。もちろん自殺願望があるわけではなく、苦しみのまま生かされたくないことを切に願っているようです。
尊厳死は簡単に答えの出せるテーマではありませんが、彼女のような意思表明をした人をどう扱うべきなのか、今後のあり方が問われることになりそうです。
Woman, 81, gets 'Do Not Resuscitate' tattoo on chest and PTO on her back