病院のミスで赤ちゃんの取り違え、30数年後に直感で本当の家族を見つけ出す
赤ちゃんが病院のミスによって取り違えが起こり、そうとは知らない別の親元で育てられる……。ドラマや小説などで聞く話ですが、日本でも第二次ベビーブームだった高度経済成長期に多発し、社会問題となったことがあります。
さて、アルゼンチンでも同様の取り違いが起こったのですが、発覚した理由が驚くべきものでした。
なんと37歳の男性が、たまたま公園で見かけた近所の一家を、自分の本当の親兄弟ではないかと直感したと言うのです。
取り違えによって数奇な運命をたどることになったのは、アルゼンチンの首都ブエノスアイレス近郊に住むグスタボ・ジェルマンさん(写真)とハビエル・デルマッソさん。共に1974年9月生まれの37歳で、同日、同病院で産声を上げました。
その翌日、ハビエルさんの母親が用意した服を着せて欲しいと看護師に依頼。しかし手違いによってグスタボさんに用意されていた服を着せてしまったとみられています。
入れ代わりが起きてしまったとは双方の両親とも疑わず、それぞれの子供として育てることになったのです。
最初に自分の血のつながりに疑問を抱いたのはハビエルさんで、15年前の出来事でした。姉妹の輸血が必要になったときに、彼自身の血液型が両親の子供として不自然なものであることに気が付いたそうです。
それ以来、疑問を抱えたままでいたハビエルさんの運命を変えたのは、2007年のことでした。近所の公園を訪れるとグスタボさんとその兄弟、父親に遭遇したのです。
お互い近所であったため、顔は見知っている程度の関係でしたが、グスタボさん以外の一家の風貌が自分とやけに似ていると気づき、そしてこう直感しました。
「彼らが本当の家族ではないだろうか?」
ハビエルさんがグスタボさん一家に話を聞いてみると、グスタボさんが同年・同日・同病院で産まれたことがわかり、疑問は確信へと変わって行きます。
DNA鑑定をしたいと提案したハビエルさんでしたが、グスタボさんの返事は否定的なものでした。問題を引き起こしたくないという理由です。
ハビエルさんの懸命な説得によって鑑定を受け入れてもらい、2009年に結果が出ました。相手側の両親のDNAと99.9%の一致。取り違えが証明されたのです。
この不幸な事実は双方の家族に大きなショックを与え、しばらく放心状態となったそうです。
ミスした当時の看護師は今のところ見つかっていないとのことですが、その後、落ち着きを取り戻した両家は一緒に食事を楽しむことも増えるなど、良好な関係を築くようになったと言います。
近頃では「父と母が2人ずついる」と語っているグスタボさん。血の繋がった家族を自分の直感で見つけ出すというのも、何か運命めいたものを感じます。
Argentine men aged 34 discover they were given to wrong families at birth