2012年04月30日 17:01

犬がヒョウに襲われ大ピンチ、ところがどっこい…と言うお話

 

犬とヒョウ
たいへん裕福な男が、飼っている忠犬を連れて、アフリカのサファリパークへ旅行に行きました。

現地で犬が蝶々を追いかけていると、気がついた時には迷子になっていました。

犬がうろうろとしていると、なんと向こうの方から飢えたヒョウが、猛烈な勢いでこちらに向かって走って来るのが見えました。

これはまずい状況に置かれていると、犬は悟りました。

すると犬は、すぐそばに落ちていた骨に食らいつき、なんと近づいてくるヒョウに背中を向けたのです。

ヒョウがまさに飛びかかろうとしたその時、犬は大きな声でこう言いました。

「ああ、なんてウマいヒョウだったんだ、他にもおいしそうなヒョウはいないものだろうか」

それを聞いたヒョウは、攻撃しようとしていた動きをあわてて止め、恐れをなして木の後ろにこっそりと歩いて行きました。

「おっと危ないところだった。もうちょっとで犬に食われてしまうところだった」

その様子を、サルが近くの木の陰からずっと見ていました。これを上手く利用してヒョウと取り引きすれば、自分の身の安全を保障してもらえるのではと考えたのです。

ヒョウを追いかけて行くサルを見て、犬は「何かある…」と感じました。

ヒョウに追いついたサルは一部始終を話して、取り引きを始めました。一杯食わされたことを知ったヒョウは怒り狂います。

サルに背中に乗るように促し、犬の末路を見届けさせてやると叫びました。

さて、しばらくして。

向こうの方からサルを背中に乗せたヒョウがやってくるのが、犬の目に映ります。

「どうしたものか…」

思案した末、犬は逃げずに気が付かないフリをして、ヒョウたちに背中を向けて座り込みました。

そしてヒョウたちが聞こえる距離にやってきたとき、こう言ったのです。

「サルはいったいどこへ行ったんだ。あいつはもう信用できないな。ヒョウを連れてこいと30分前に送り出したのに、まだ帰ってこない!」

教訓:「持っているカードが何であれ、プレイヤーの使い方ひとつで結果は変わるものである」

The Dog and the Leopard

希望の木
新井 満
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