犬がヒョウに襲われ大ピンチ、ところがどっこい…と言うお話
たいへん裕福な男が、飼っている忠犬を連れて、アフリカのサファリパークへ旅行に行きました。
現地で犬が蝶々を追いかけていると、気がついた時には迷子になっていました。
犬がうろうろとしていると、なんと向こうの方から飢えたヒョウが、猛烈な勢いでこちらに向かって走って来るのが見えました。
これはまずい状況に置かれていると、犬は悟りました。
すると犬は、すぐそばに落ちていた骨に食らいつき、なんと近づいてくるヒョウに背中を向けたのです。
ヒョウがまさに飛びかかろうとしたその時、犬は大きな声でこう言いました。
「ああ、なんてウマいヒョウだったんだ、他にもおいしそうなヒョウはいないものだろうか」
それを聞いたヒョウは、攻撃しようとしていた動きをあわてて止め、恐れをなして木の後ろにこっそりと歩いて行きました。
「おっと危ないところだった。もうちょっとで犬に食われてしまうところだった」
その様子を、サルが近くの木の陰からずっと見ていました。これを上手く利用してヒョウと取り引きすれば、自分の身の安全を保障してもらえるのではと考えたのです。
ヒョウを追いかけて行くサルを見て、犬は「何かある…」と感じました。
ヒョウに追いついたサルは一部始終を話して、取り引きを始めました。一杯食わされたことを知ったヒョウは怒り狂います。
サルに背中に乗るように促し、犬の末路を見届けさせてやると叫びました。
さて、しばらくして。
向こうの方からサルを背中に乗せたヒョウがやってくるのが、犬の目に映ります。
「どうしたものか…」
思案した末、犬は逃げずに気が付かないフリをして、ヒョウたちに背中を向けて座り込みました。
そしてヒョウたちが聞こえる距離にやってきたとき、こう言ったのです。
「サルはいったいどこへ行ったんだ。あいつはもう信用できないな。ヒョウを連れてこいと30分前に送り出したのに、まだ帰ってこない!」
教訓:「持っているカードが何であれ、プレイヤーの使い方ひとつで結果は変わるものである」