こんなに当たってるとは…SF小説の巨匠アイザック・アシモフが50年前に記した未来予想図「2014年の世界博覧会」
三大SF作家のひとりに数えられる巨匠アイザック・アシモフ。
生化学者でもある彼は科学、数学、歴史、文学などにも造詣が深く、小説「われはロボット」に登場するロボット三原則は、後に現実のロボット工学にも影響を与えています。
そんなアシモフが1964年に、ちょうど50年後の未来を予想したエッセイ「2014年の世界博覧会」を執筆しています。
未来のテクノロジーを予想する天才が思い描いた2014年をご覧ください。
Picture credit:SAdreams
1964年にアシモフが予測した「2014年の世界博覧会」
1.
「自分好みの快適な環境をつくり、人々はさらに自然から遠ざかる」
(家が快適で引きこもる人は増えました)
2.
「キッチンには水を加熱する自動コーヒーメーカーがある」
(これ以外の方法がもう思い出せない)
3.
「ランチもディナーも完璧な冷凍食品が冷凍庫に保存されている」
(最近の冷凍食品の美味しさは侮れません)
4.
「2014年の機器は電源コードがない」
(すっかりモバイル機器全盛に)
5.
「コンピューター制御による自動操縦する車が登場」
(実用はまだでも、コンセプトカーとしてはありますね)
6.
「地面とほとんど接触しない輸送車が登場」
(日本の超伝導リニア中央新幹線計画は2014年に着工予定です)
7.
「火星に無人船が到着、有人探査とコロニー計画も建てられる」
(ちょうど有人飛行のパイロットを募集していますね)
8.
「街中の近い距離は『動く歩道』で移動」
(動く歩道は少ないですが、エスカレーターならどこにでもあります)
9.
「世界人口は65億に達し、アメリカの人口は3億5千万に達する」
(2011年に世界人口は70億に達し、アメリカの人口は3億1千万。ちなみに1960年の世界人口は30億)
10.
「静止衛星と通信することで、世界中のどことでも電話がつながる」
(衛星だけでなく、地上や海底でもつながっています)
11.
「電話は映像と音声の両方でコミュニケーション可能に」
(これも今や当たり前になりました)
12.
「2014年には3Dテレビが普及して人気になっている」
(ブームが来たのが数年前、誤差が小さすぎ…)
13.
「教育現場ではテレビやビデオが導入」
(タブレット端末やPCを使うようになりました)
14.
「ロボットは2014年の段階では、まだ当たり前にはなってないか、それほど良いものではないだろう」
(汎用人型ロボットと言う意味では、まだまだですね)
15.
「人間にしかできない仕事はほとんどなくなり、大半は機械の監視・操作をする役目となる」
(残念ながら、かなり働かないと食べていけません)
16.
「それゆえ人類は深刻な退屈さに悩まされることになる」
(むしろ娯楽が増えすぎて消化する時間が足りません)
17.
「幸運なごく一部のクリエイティブな能力を持つエリートだけは、機械に従事する以上の仕事があるだろう」
(何か違う気はするけど……)
18.
「2014年は、暇であることを強いられる社会になるため、『仕事』こそが一番輝かしい言葉となるであろう」
(そんな時代がやってくる気配もないです)
1964年に書かれたとは思えないほど現代のテクノロジーを言い当てています。
もちろん大外れの予想も少なからずあり、車が空気の噴射によって宙に浮いているだろうとか、核融合炉が出展されているだろうといったものもあります。すさまじい勢いで科学が発展して時代(アポロ11号が月面に到達したのが1969年)ですから、楽観的な予想が含まれるのはしかたないかもしれませんね。
ちなみに最も外れた予想と評されていたのは、2014年に万国博覧会なんてなかった、ということでした。
Isaac Asimov's 1964 Predictions About 2014 Are Frighteningly Accurate
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