2014年06月11日 12:10

「お腹を痛めて産んだ子なのに、DNAが一致しない!」あやうく子供を取り上げられかけ、さらに犯罪の疑いまでかけられてしまった女性

 

遺伝子
自分のお腹を痛めて産んだ子供であれば、現代はDNA鑑定によって血縁関係を証明できるようになりました。

ところがアメリカで、実際に自分が出産したにもかかわらずDNAが一致せず、子供を取り上げられかけ、さらには犯罪の疑いまでかけられてしまった女性がいます。

いったいどんなケースなのでしょうか。

She's Her Own Twin - ABC News

その女性はリディア・フェアチャイルドさんと言います。3児の母親である彼女は、わが子であることを証明するために裁判で争う羽目になりました。

問題が起きたのは2002年で、リディアさんが25歳のとき。4歳と3歳の2人の子供に加え、お腹の中には妊娠3か月の子を身ごもっていました。

子供たちの父親にあたるパートナーとは別れており、失業していたことから、ワシントン州の生活保護を受けるためのDNA鑑定を受けることになりました。

単に親子関係を証明するだけのもので、子供たちの父親を含めた家族全員が受けました。ところが鑑定のあと、社会福祉課からすぐに来るよう通達がありました。

定期的な面談だと思って訪れたリディアさんに、福祉課の職員は「あなたは誰なのか?」と尋問を始めます。突然、母親の立場から容疑者のような扱いに変わったことに混乱したというリディアさん。

DNA鑑定の結果は、彼女が子供たちの母親ではない、というものでした。父親と子供たちのDNAは一致し、リディアさんだけが家族の中で唯一つながりがなかったのです。

何かの間違いだと食い下がったリディアさんでしたが、職員は「DNAは100%で、嘘はつかない」と受け付けてくれません。

生活保護は拒否され、さらには母親になりすました不正受給ではないかと疑われます。そして職員の元を去るときにこう言われました。

「いつでも子供たちを取り上げることができるのよ」

子供たちを失う可能性が出てきたのです。

リディアさんはパニックに陥りました。紛れもなく彼女が産んだ子供たちです。家に帰ると、妊娠中の写真や、子供たちの出生証明書などをかき集めました。

両親に電話してDNA鑑定の結果を伝えると、彼らも何かの間違いであると同意してくれました。後にリディアさんの母親は「冗談かと思った」と語っています。なぜなら娘の出産に立ち会い、一緒に子供を抱いていたからです。

子供たちを取り上げた産婦人科医にも連絡しました。DNA鑑定がおかしいことを裁判で証言してくれると約束してくれました。

しかしながら当時の裁判において、DNA鑑定は絶対的な判断基準でした。彼らの証言が通じない可能性が高いのです。

その後、人為的なミスの可能性を排除するために、別の研究所で2度目のDNA鑑定が行われました。しかし、そこでも同じくDNAは不一致という結果が出ます。子供たちを失う危機がますます高まった彼女に、裁判官は弁護士を雇うように進言しました。

弁護士を探すのも大変なことでした。DNA鑑定の証拠に立ち向かってくれる弁護士は皆無に近かったのです。

そんな中、ティンデル弁護士がリディアさんの弁護を引き受けてくれました。当初は彼女に「姉妹の子供ではないのか?」「兄弟の子供たちではないのか?」「誘拐したのではないか?」といったことを尋ねましたが、彼女の答えがあまりに確固たるものだったので、信じることにしたそうです。

リディアさんは疑いの目を向けられたまま、3人目の子供を出産します。陪審員が出産を目撃し、すぐにDNA鑑定を母と子の双方に行いました。

ところが出産現場を目撃していたにもかかわらず、絶対に親子ではないという結果が出たのです。

そんな彼女に一筋の光が差したのは、まったく別の州で起きた同じような例を、弁護士が医学ジャーナルから見つけ出したことでした。そのケースでは医師が謎を解き明かしていたのです。

カレン・キーガンさんは腎臓移植の必要が生じたことからDNA鑑定を受けましたが、彼女の場合、不一致の連絡をボストンの医師から受けました。

医師たちはカレンさんと2人の息子のDNAが一致しないことを不思議に思い、やはり同じような質問をカレンさんに投げかけています。

病院の名前、体外受精の可能性、カレンさんが嘘をついている可能性、あるいは精神的に失調している可能性なども含め、調査を進めていきました。

さらにDNAサンプルを体のあちこちから採取しました。血液、髪の毛、口内……。しかしどれも息子たちとは一致しなかったのです。

カレンさんは以前、甲状腺の小瘤(しょうりゅう)を除去する手術をしたことがあり、保管されていた甲状腺の組織サンプルを検査したところ、そのDNAは息子たちのものと一致したのです。

このことがミステリーを解決へと導いていきます。

カレンさんは血液的には1人ですが、組織的には2つの個体が結合していることが判明しました。それはすなわち、カレンさん自身が双子そのものであることを意味します。

こうした症例は「キメラ」と呼ぶ非常に珍しいケースで、世界で30例しか確認されていません。

妊娠初期に双生児の片方が死亡し、生存している方に吸収されるか、2つの受精卵が子宮内で融合して1つの胚となったとみられています。
キメラ - Wikipedia

弁護士は、裁判の日をこの検査が終わるまで延期するよう依頼しました。そして、リディアさんもこのキメラであることが判明します。

こうして、ようやく裁判所によって実子であることが認められ、起訴は取り下げられました。

医学を過信しすぎたゆえの悲劇ですが、最終的には子供を奪われることもなく、生活保護を受けることができたとのことです。

ちなみに骨髄移植をした人の中にも、提供者と血液が融合してしまい、細胞のDNAと血液のDNAが一致しなくなるケースがあるそうです。

TIL a woman filing for public assistance failed 4 DNA tests to prove maternity of her children.

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