「遺書を読み上げたことのある弁護士に質問、最も興味深い内容は?」ドラマのような回答いろいろ
遺産相続や遺言書と聞くと、小説や映画のようなドラマを想像してしまいますが、現実ではどんなことが起きているのでしょうか。
「弁護士に質問、遺族に読み上げた遺言で、驚きだとか、奇妙だとか、侮辱的だとか、興味深い内容だったものはありますか?」と、海外掲示板に質問されていました。
興味深い回答をご紹介します。
●自分が知っている遺書で面白いものといえば、とても価値のあるアンティークの時計を祖父から譲り受けていた父親だね。彼には娘が2人いて、彼が決めたことはこうだった。
「自分が偶数日に死んだら娘Aに、奇数日に死んだら娘Bに時計を遺す。時計をもらえないほうの娘には、その時計の時価と同額の現金を遺す」。なぜそれを知っているかというと、自分はその時計の修理サービスをしているから。
↑娘Bは、時計を得るチャンスが微妙に多いな。
●遺書もあつかう会計事務所に勤めていた。
ある70歳の老人が、全ての財産を愛人に遺し、妻には金魚だけを相続させるようにした。争えばおそらく妻が勝訴すると老人に伝えたが、彼は気にしないと答えた。
●大学(法学部)のテキストで、遺書のひどい例として書かれていたものだが、
「妻には、妻の浮気相手と妻が思ってるほど僕が愚かではないという知識を残します。息子へは、生活のために働くという喜びを残します。この25年ほどは、その喜びはまるで僕のためだけにあるように思っていたようですが」
弁護士としては、とりあえずこういう遺言を思い留まらせなければいけない。
●女友達は生まれたときに養子となったが、彼女の母親が亡くなったとき、実子2人に半分ずつの資産を残し、彼女には何も与えなかった。
↑それはダメだろう。
●うちの法律事務所に依頼してきた客は農業を営む人で、いくつかの重機(トラックやブルドーザーなど)を持っていた。
彼には農業を助ける息子2人と、都会で働く娘1人がいた。ところが重機を都会で働く娘にも与えるように遺書を作った。農業には重機が必要なことから「なぜ?」と聞かれた彼は、農業そのものを3人の子供に公平に分けたいが、娘が女性だからといって、不公平に取り扱うつもりはないことを知ってもらいたいと答えた。
●うちの事務所の客は、石をコレクションしている男性で、それぞれの石をカナダのどの川に捨てるかなどを指示していた。
↑そういった遺言は、どれくらい法律による強制力があるの? もちろん限度があると思うけど、どこかで線引きが必要だよね?
↑遺書の目的は、亡くなったあとの持ち物・資産の行き先(放棄先)を決めるためのもので、故人の望みを果たすためのものではない。石の捨て場所などは亡くなったあと気する人は少ない。なのでその通りにしてもよいし、しなくてもよい。ただし遺書に譲渡や分与の条件が書かれているなら、話は変わる。
●義理の父は裕福層の客を持っていて、そのうちのひとりが何億という遺産相続の遺書を作った。
最後の1行が、「もし子供たちが争えば相続はゼロ」と言うものだった。でも彼らは何年も争っていたよ。
●母方の祖父はかなり裕福だった。彼は祖母と離婚して、その後に再婚したが心臓発作で急逝した。そのとき祖父は48歳で、全てが新しい再婚相手に渡った。ただし母親の継母にあたるこの再婚相手は良い人で、公平になるように計画していたんだ。ところがその6か月後、自動車事故で彼女も亡くなってしまった。彼女には再婚する前の旦那との間に15歳の息子がいた。そして彼が全てを相続した。母親とその兄弟は、家のオークションで自分たちが子供時代の品物を買い戻しに行かなければいけなかった。
●教授が教えてくれた話だが、ある男性には2つの家族があった。彼が亡くなるまで、それぞれの家族はお互いのことを知らず、遺書を読み上げるときに初めて顔を合わせた。
これは愛人と本妻というようなものではなく、両方に同じだけ数人の子供もいる家族だった。最もばつの悪い、遺書の読み上げ現場になったと思う。彼がいったいどんな風にして2つの家族を保てたのか、出張以外では想像もつかない。
●法学の信託&不動産の授業でこんなケースを扱っていた。
とある男性が全ての遺産を妻に遺したのだが、条件があって、彼女が夫の体を剥製にしてリビングのソファに飾っておくというものだった。
彼女にとって幸運だったのは裁判所がそれを無効にしたこと。理由のひとつは、気味の悪い元夫の死体が居間にあれば、彼女は再婚も恋人を作ることも不可能であるということだった。
●「リンゴを持つ少年」の絵はホテルのコンシェルジェに与える、という母親の遺言を、その息子に伝えなければいけなかった。
●祖父が亡くした友人が、姉と弁護士のところに行ったそうだが、100%の資産を姉に相続させるというものだった。祖父ともめてもいなかったので、彼は非常にショックを受け、姉も遺産を分けたりはしなかった。
●遺書を読み上げることは映画以外ではほとんどない。通常はコピーをとって読みたい家族に読ませるだけである。
●法学部で書記の仕事をしていたとき、裕福な女性の遺書を、成人になった子供たちが無効にしようとしていた。
女性は800万ドル(約9億5千万円)の資産を持っていて、子供たちも専門職を持っていて1000万〜1億円くらいの稼ぎがあったはずだった。女性は数年ほどずっと同じ美容師を利用していて、彼女に相当額を遺した上に、美容師の子の教育費用にと信託金まで残した。残りはいろいろなチャリティへ寄付した。当然子供たちは怒ったというわけだ。結局どうなったのかはわからない。
巨額の遺産を持つ人が亡くなると、必ずドラマが発生するようです。
お金にまつわる問題は世界共通のようですね。