「老人と海」のヘミングウェイは10以上もの大きな病気やケガをしていた…小説以上に波乱万丈
アーネスト・ヘミングウェイといえば、「老人と海」「誰がために鐘は鳴る」「武器よさらば」「日はまた昇る」など、数々の名作で知られるノーベル文学賞作家ですが、彼自身の人生もまた壮絶なものでした。
マラリア、炭疽病、肺炎、赤痢、皮膚ガン、肝炎、貧血症、糖尿病、高血圧症、2回の飛行機事故、腎臓破裂、脾臓破裂、肝臓破裂、脊椎骨折、頭骨骨折……に見舞われているです。
壮絶な病気やケガの数に驚きですが、第一次世界大戦も体験し、晩年は飛行機事故での後遺症によって身体的な苦痛と戦うことを強いられ、うつ病も患っていたようです。
痛みから逃れるために飲酒の量が増えていき、最後はお気に入りのショットガンで自らの命を絶ちました。(享年61歳)
巨匠の過酷な人生に対する、海外掲示板の反応をご紹介します。
●アーネスト・ヘミングウェイはいつも遠い時代の人だと思っていた。だが亡くなったのが1960年代と知って驚きだよ。カラー写真もあった。
↑彼とピカソは驚きだね。
↑サルバドール・ダリも1989年に亡くなっているよ。
●彼はその写真じゃワルって感じだ。
↑中学校のソフトボール部のコーチみたいだ。
●ヘミングウェイのカラー写真は実はたくさんある。特に晩年近くのものはね。古い人だと思うのは、彼の有名な写真が白黒写真で著名な写真家に撮られたものが多いからだ。
Yousuf Karsh氏の作品
Robert Capa氏の作品
●彼は61歳で自殺したんだ。
↑まるで彼を殺せたのは、彼だけだったかのようだ。(病気ではなく)
↑実際は生活や人間関係に支障が出るほどの妄想にさいなまれていた。彼はFBIが彼の電話を盗聴していると思い、Gメンたちが尾行していると信じていた。
まわりの人は彼の妄想だと相手にせず、そのことで社会からどんどん隔絶していった。それが自殺を手助けしたところもある。
何年も経って、彼の妄想は100%正しかったことがわかった。かわいそうだ。
↑ヘミングウェイはフィデル・カストロ(キューバ革命の指導者)との繋がりもあり、政府から監視されていたことは確かだ。
しかし彼自身もヘモクロマトーシスという遺伝疾患を患っていて、これは肝臓、脾臓、皮膚などに鉄分が沈着していき、心身ともに弱っていく。うつ病もそのひとつだが、同じ病気だった父親、妹、弟、孫娘も自殺していることを特筆しておく。
●酔っぱらっていたら、結構いろんなことをサバイバルできるということか。
●自殺した彼を責められないと思った。
●ヘミングウェイの研究をしているが、彼はかなり長期にわたって外傷性脳損傷の経歴がある。第一次大戦中の救急サービスに従事していたころに受けた脳震盪(のうしんとう)から、アフリカでの飛行機事故まで、外傷性脳損傷と彼の精神状態との間に、興味深い事実や関わりがある。
飛行機事故では離陸時にぶつかって炎上したのだが、ヘミングウェイはそのときすでにケガをしていた。ドアが詰まって開かず、それを開けるのに彼は繰り返し自分の頭を打ち付けたんだ。そのときの強い打ちつけにより、ドアが開いて彼は逃げることができた。そして同時に左側の頭骨が完全に露出するほどの損傷を受けた。こういったいくつかの出来事で、かなりひどい外傷性脳損傷があった。
●大戦中に足の骨折もしていなかったっけ? 多くの脳震盪もね。酒量が増えるのも無理はないと思う。
●なんというかこう、「いいよ、自分でやる」ってタイプなんだな。
●なんてタフな男なんだ。
●こんなタフネスでも、うつ病には立ち向かえなかったってことだ。みんなは簡単そうに言うけどね。
意外と最近の人であることや、その波乱万丈ぶりとに、驚く人が続出していました。
こうした逆境が、偉大な作品の源になっているのかもしれません。
TIL that Ernest Hemingway lived through
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