なぜGPSが無料で一般利用できるようになったのか…きっかけとなった事件
車やスマートフォンなど、日々の生活に欠かせないものとなったナビゲーションシステム。
人工衛星を利用した全地球測位システム(GPS)のおかげで、スムーズに現在地や目的地を見つけることができるようになりました。
このGPS、元来はアメリカの軍事用システムであり、国防総省が管理下にありますが、なぜ世界中で無料で使えるようになったのか、ご存知でしょうか。
きっかけとなったのは、1983年に起きた大韓航空機撃墜事件です。
ニューヨークからアンカレッジを経由しソウルに向かう大韓航空機が航路を逸脱し、ソ連の領空を侵犯したことで、ソ連空軍の戦闘機により撃墜され、269人の死亡者を出す大参事となりました。
生存者がいないため、今現在も航路を逸脱した真相はわかっていません。
こうした悲劇が二度と起こらないようにと、当時のロナルド・レーガン大統領が軍事専用だった人工衛星ナビゲーションシステム(DNSS)を機密指定から解き、世界的に使えるようにしました。
それが現在のGPSと呼ばれるものとなり、一般利用されるようになりました。
当時は第三次世界大戦が勃発しかねないと世界が緊張した大事件でしたが、現代社会の最も重要なテクノロジーのひとつを促進させることになったことも確かです。
民生に解放されて以後も、しばらくは軍用よりも精度の低い信号しか提供されませんでしたが、より正確な位置がわかるようにと、ビル・クリントン元大統領が許可を与える署名をしています。
現在、われわれが無料で正確な位置情報を入手できるのは、この二人の大統領の貢献と言えます。
ただし「ありがとうアメリカ」「太っ腹」と言えるほど単純な話でもなく、アメリカはGPSの無料開放はしていても、利用の保証はしていません。
もしもアメリカが他国のGPS利用に制限をかけたら、交通網をはじめ社会機能そのものが麻痺しかねない状況であるため、強力な外交カードになっている側面もあるとのことです。
TIL that a Korean airlines accidentally strayed into Soviet Airspace