400年前のドイツ上空で何が起きたのか…謎の飛行物体が飛び交う1561年の木版画
こちらの木版画がドイツで製作されたのは、なんと400年以上も昔の1561年。空には謎の物体が飛び交い、地面は爆発炎上した煙まで描かれています。
「4月14日早朝のニュルンベルクの上空を、球体、三日月、筒状、十字架、さらには巨大な槍のような物体が埋め尽くし、1時間にわたって戦いが起きた」と説明されたもので、多くの目撃証言があり、他の版画も残されてます。
いったい当時のドイツで何が起きたのでしょうか。
現在のニュルンベルクは、バイエルン州第2の都市(ドイツ全体では14番目)。
こちらは1493年のイラスト。現在も変わりない街並みがうかがえます。この時代はケルンやプラハとならぶ神聖ローマ帝国最大の都市の1つに数えられました。
さて、歴史的事件が起きたのは1561年4月14日の明け方。木版画の作者はHans Glaser氏で、当時の木版画は新聞の役目を果たしていました。
最初に2つ筒型の物体が出現し、そこから色とりどりの小さな物体が飛び出し、激しく戦闘を開始したと描写されています。
どちらが優勢かまでわかったと言い、1時間ほどで消え去ったとのこと。いくつかは墜落して爆発炎上するも煙と共に跡形もなく消え去ったそうです。
別の版画記事。こちらも太陽のまわりに無数の物体が浮いていることが描かれています。
その後、現在に至るまでさまざまな仮説が立てられてきました。
最も話題性の強いのは、やはり「UFO船団による宇宙戦争」説。その他にも「第二次世界大戦の空中戦が、その時代にタイムスリップした」など、人々の想像を駆り立ててきました。
仮説のひとつとして、この現象は「幻日」ではないかとの説明もありました。根拠は、太陽に隣接した弧を描いた物体。
(検証映像)
Nuremburg 1561 UFO "Battle" Debunked - YouTube
幻日は、太陽と同じ高度に太陽からは離れた位置に光が見える、大気光学現象。
(幻日 - Wikipedia)
想像力を上乗せした表現で木版画に描かれることも多いようです。
別の木版画の例。
なるほど、確かに説得力はあります。
十字架の表現。
赤いオーロラのカーテンが現れたときの木版画記事。
ニュルンベルク上空に起きたのが数百年に1度レベルの現象だとするなら、色とりどりの物体はプリズム効果(虹)の発生など、さまざまな条件が重なった結果かもしれません。
さらに明け方の現象なので直接目撃したのは少数派。見ていない人に伝言ゲームのように尾ひれがついて伝わったとも考えられます。
とは言え、当時の文献は少なく、どの説もあくまで仮説にすぎません。
やはり宇宙戦争が起こったと考えるほうがロマンはありますね。
16th-Century Germans Reported Seeing UFOs Hovering Over Nuremberg