「もしもアインシュタイン博士の代わりに運転手が講義をしたら…」というお話
アインシュタイン博士は、かの有名な相対性理論を発表してからというもの、アメリカ中の大学を訪問しては講義をする毎日でした。
講義には必ずと言っていいほど、お抱え運転手のハリーを同席させていました。
いつも最後列の座席から聞いていたハリーは、ある日、ふと思ったのです。
博士が講義を終えて車に乗り込むときに、ハリーは言いました。
「アインシュタイン博士、もう何度も何度もあなたの相対性理論の講義を聞いたので、もしチャンスが与えられたなら、私にもきっと完全に同じ講義ができると思いますよ」
「ふむ、では来週ダートマス大学へ行くんだが、そこでは誰も私の顔を知らないので、お前さんがアインシュタインとして講義をするのはどうだい?」
その結果、ハリーはアインシュタイン博士として、ひと言も間違えずに完璧な講義をやりおおせました。
アインシュタイン博士は最後列に座り、「運転手」のふりをしていました。
ところがハリーが教壇から下りようとしたときに、ひとりの研究者がさえぎり、相対性理論についての質問を始めたのです。
それは、とても複雑な計算を含むものでした。
その質問に対して、ハリーは涼しい顔で答えました。
「その答えはとてもシンプルなんだよ。あまりに簡単なので、私の運転手に答えさせてみようじゃないか」
教訓:はったりは徹底すること。