ロシアの貧しい女性、たった5年でデンマークの食事の無駄を25%減らす
Denmark reduces food waste by 25% in five years with the help of one woman - Selina Juul
セリーナ・ジュールさんが13歳まで育ったロシアは政治が腐敗しており、常に食料は不足していました。テーブルにその日の食事が乗るかも保証されていない毎日だったのです。
彼女が初めてデンマークに来たとき、スーパーマーケットが食料品であふれかえっていることに驚きました。
ところがもっとショックだったのは、その食料がどれだけ無駄にされているかを目の当たりにしたことでした。
どうにかすべきだと思った彼女は、2008年にFacebookで「食事を無駄にするのをやめよう」“Stop Wasting Food”というページを立ち上げます。
すると1週間後には、デンマーク全国に知れ渡る有名人になっていました。
まず最初にスーパーマーケットを変えることから着手しました。
REMA1000(チェーン店)はデンマークに283店舗ありました。セリーナさんの働きかけにより「まとめ買い割引」は廃止され、単品ごとの割引きになりました。
店側によると、それまで1日に80〜100本のバナナが無駄になっていましたが、「1本から売ります」と表示を掲げることで無駄が90%もカットできました。
次にセリーナさんは消費者に働きかけました。
ほとんどの無駄は家庭から出るため、残り物を使う料理本、政府への働きかけ、学校教育への働きかけ、レストランにドギーバッグ(食べ残しを持ち帰るための袋や容器)3万個を配布するなど、それはそれは忙しかったそうです。
週末も返上して活動している彼女ですが、その原動力は「敬意の欠如」だと言います。
食事に対して、作った人に対して、動物に対して、そして無駄にすることで自分の時間やお金に対しても、敬意を欠いていると主張しています。
デンマークの食料の無駄が大きく減った成果に対し、政府はセリーナさんを表彰しました。
たった1人の無駄にしてはいけないという気持ちが、国全体を変革したのです。
どの社会にも無駄や矛盾が存在しますが、自分がひと声上げるだけで変わることがあるかもしれません。