「私は31歳の多重人格者だけど…何か質問ある?」10以上の人格を持つ人物が海外掲示板に登場
かつて「24人のビリー・ミリガン」という多重人格障害者の犯罪事件を記録した本が話題になり、世に多重人格について知らせることになりましたが、それほど一般への理解が深いわけではありません。
現在は「解離性同一性障害」と呼ばれていますが、この診断を受けた人物が、海外掲示板で質疑応答を受け付けていました。
「私の名前はジャスティンです。現在31歳で、14歳のときに解離性同一性障害(DID)の診断を受けました。障害を持ちながら、理論的な考え方による詳しい知識があります。
皮肉にも心理学の学士を持っています。修士課程もほとんど終えるところでしたが、大学院でのストレスと家庭の問題によって障害がひどくなり、あと1学期を残して中退しました。
個人的な体験や障害(DID)の一般的なことについての質問を受け付けます。
Q: メインの人格というのはありますか?
A: 良い質問。複雑な回答になります。現在(ジャスティン)がメインの人格で、ほとんどの時間をコントロールをしています。この人格が毎日の雑用をこなし、最も理解のある記憶やスキルを持っています。ですが、これはオリジナルの人格ではなく、いつもメインの人格でいるわけではありません。
Q: ほかにどんな人格があるのですか。
A: モーガンがオリジナルの人格で、人生上は彼女がメインでした。
ストームは感情的な13歳で激しやすく気まぐれ。彼女は短気。
ゾーイは10代後半〜20代前半の感情的な人間。彼女はクリエイティブで賢いけどフレンドリーではありません。
ケイデンは別の10代。彼はひょうきんな性格。ベジタリアンなので他のみんなの生活をやりにくくしています。
ハンナは自分にとってミステリー。だけど日常の掃除や雑用を多くこなしています。
キャリーはほとんど表に出てきません。20代の頃はよく出てきていました。
クインは以前は存在していたアイデンティティ。だけど別の誰かと混合したので今は存在していません。
ヘイリーは我々の中のおチビちゃんのひとり。8歳くらいで何もかも怖がって、だけど大人のドラマを見るのが好き。
エマは一番幼い。情緒的には4歳。砂糖が好きで、許可なくアマゾンで買い物をします。
Q: ほとんどの人格が子どもか思春期なのは変だと思いますか? それは普通ではないのかな。それから一番お気に入りは誰?
A: この障害は、子どものような人格をいくつも持っていることは珍しくありません。理論のひとつでは、それらのアイデンティティはオリジナルの人格の中で作られたときにフリーズしたと考えられています。エマは4歳の時に出てきて、ヘイリーは8歳の時に出てきたというように。
最近はケイデンとウマが合う。明るい人がいるのはいいことですね。
Q: モーガンとあなたの性別は何ですか。
A: モーガンは女性で私たちの体も女性です。性のアイデンティティについてはとても複雑な状況。いつも自分は男として認識していますが、性別の不安感などはあまりないので、男性にも女性にも分類されない性別認識なのだと考えています。
Q: それぞれの人格はどのような関係でやりとりしていますか?
A: 若いときは内面で会話する方法を知らずに、日記をつけたり、お互いにメモを残したりして処理していました。
年数が経つごとに内面のコミュニケーションを図れるようになってきました。テクノロジーに頼ることも多いですね。カレンダーのリマインダーやアラーム、Googleキープのノートなどが役立っています。テクノロジーは救世主。
Q: モーガンとして生まれたことを、法的にはどう処理していますか?
たとえば賃貸するときにジャスティンと署名しているのか、モーガンと署名しているのかどっち?
最近8つの人格をもつ人物のドキュメンタリーを見たけど、彼らのほとんどは辛いときや虐待されるときに現れると述べていました。あなたにも虐待された記憶がありますか?
A: 法的にはモーガンで通しています。ほとんどの人が自分をモーガンと認識しているので、俳優のようにモーガンのふりをしています。
DIDはたいてい幼い頃のひどい虐待などのトラウマが引き起こす障害で、個人的には何も覚えていませんが、そうした過去があったことだけはわかっています。
Q: あなたの友人や気にかけてくる人はこれをどう扱っていますか? 周りの人にどれくらいオープンにしていますか? 例えば同僚など。
A: 秘密にしています。本当にひと握りの人しか私がDIDだとは知りません。ほとんどの場合、周りの人は私が気まぐれで奇妙な人格だと思っています。私がおかしな行動をするのは、気分障害を患っているとか忘れっぽいとかの説明で、ごまかしています。
私の病気について知っている人は、とても忍耐強く同情してくれています。
Q: 誰かいい人と出会って、だけどそれにストームやゾーイが対応して、その人に意地悪したり、された経験はありますか?
A: 若いときには頻繁にありました。
Q: お互いの人格のことを知らないことはありましたか?
A: もっと若い頃は、いったい何が起きているのか理解できず、他の人と違うと思っていました。そしてモーガンが私たちを誰ひとり知らないときがありました。
Q: 人格が変わるときには、停止時間がありますか。やっていることが1〜2秒止まるのか、それとも継ぎ目がないような感じで変わるのでしょうか?
A: 自分では、継ぎ目にどのくらい停止して、他人から見てわかるのか不明です。ただし、話している途中で内面が切り替わった場合は、それまで話していたことを完全に忘れています。
Q: 時間の感覚で問題が出ることはありますか? 内面で大きなケンカをすることはありますか? あるいはお互いに怒ったりすることはありますか? 最も大きなケンカはどんなことですか? それから治療は役立っていますか?
A: 時間については常に問題になっているので、テクノロジーに頼っています。何度も時間や日付を確認しています。それからお互いに怒鳴り合うようなケンカはありません。だけど長い間対立していることはあります。
最も大きな対立はモーガンのデート相手の男性をめぐってですが、大多数の人格は相手の男性のことが嫌いでした。それから楽しいことをしているときは、誰が表面に出るかの対立もあります。共有できることもありますが、誰かと関係を持つようなことは非常に難しいです。
Q: 自分の意思で人格をスイッチできますか?
A: たいてい引き金になるものが必要になります。でも意識的に下がって他の人格に任せることはできます。自分はコントロールを他人に与えることに乗り気ではありません。
Q: もし熱を出したり、アレルギーがあったりした場合は、他の人格も引き継ぐのか、その前の人格と同時に消えていくのかどっちですか。
A: 身体的な問題は全員に衝撃があります。もし熱を出したら全員が熱を出します。ただし自分がひどい頭痛でも、他の人格がコントロールしてるときは頭痛が起きないということがあります。
以上が現在のメインの人格だという、ジャスティンさんによる質疑応答です。
基本的に幼少期のトラウマや虐待が原因で、防御のメカニズムから複数の人格が形成されるとのことです。トラウマや虐待の記憶は、小さい頃で覚えていないか、あるいはブロックされているケースが多いようです。
当人にしかわかりえない苦労がうかがえます。