「中南米で最長の橋を建設したその年に、洪水で川だけ移動してしまったことがある…」1998年のホンジュラスで起きた悲劇
1998年に全長190メートルの中南米で最も長い橋が、日本の無償資金協力でホンジュラスに建設されました。
ところが同年に現地を襲ったハリケーン・ミッチの洪水被害によって川の位置は大幅に変動、道路も流されてしまったのです。
当時に撮影された、川の位置とずれてしまった巨大な橋の姿をご覧ください。
Natures way to say fuck you : Damnthatsinteresting, molnar - Pixabay
Today I learnt that in 1998 Honduras built a bridge over the Choluteca river, but Hurricane Mitch rerouted the river. pic.twitter.com/NgxxW3ifFJ
— Daniel Holland 🎗 (@DannyDutch) December 1, 2020
完成した年に、橋としての意味がなくなってしまった1998年の新チョルテカ橋。
ハリケーン・ミッチによってチョルテカ川のルートが変わってしまい、砂の上にポツンと取り残されてしまったのです。
海外掲示板のコメントをご紹介します。
●シムシティ(都市開発ゲーム)でミス操作したときに起きることが、現実で起きたようだ。
↑きっと取り除くための小さなブルドーザーをクリックし忘れたちにちがいない。
↑自分はシティーズ:スカイライン(都市開発ゲーム)の水力発電ダムでそれを何度かした。
●今では滑走路。
↑バスは時速80kmをキープすればジャンプできる。90年代のドキュメンタリーで見た。
●橋をクリックしてそのままドラッグして離す。問題解決。
●なぜ道路と橋がつながっていないの? ルート変更する前のランダムな橋?
↑Wikipediaによると、橋が使用開始された同じ年にハリケーン・ミッチの被害に遭い、国民やインフラに甚大な被害をもたらした。
旧チョルテカ橋を含む多くの橋が損壊などの被害にあったが、この新チョルテカ橋はほぼ完璧な状態で残った。
しかし両端の道路は完全に消え去り痕跡も残らなかった。コルテカ川は大洪水によって経路が変わり、橋の下にあった川は乾燥した。
橋は「どこにもいけない橋」と呼ばれた。2003年に橋は高速道路に再接続した。
(Choluteca Bridge - Wikipedia)
↑自分はホンジュラス人で偶然にもコルテカ出身。
その時のハリケーンの被害の凄まじさを伝えられたらと思うよ。橋の両側にベージュの砂が見えるだろう? 当時は昼夜ずっとすべて川だった。自分は首都テグシガルパに住んでいて、コルテカの実家は川の周辺だったが、そこまで近かったわけではない。
だが洪水は天井まで届いた。それくらいひどかった。
飼っていた小太りの愛犬は生き残った。洪水で水位が高くなったときには屋根の上で2日ほど救助を待っていた。
泥のせいで実家にたどり着くのは不可能だった。ほとんどの人が全て、あるいはほぼ全てをひと晩で失った。うちの家族も含めて。
父親はカンタループの農園を持っていたけどハリケーン襲来の数時間後には全てが消えた。避難所が信じられなかったのを覚えている。全てを失った大勢がいた。大勢の死者が通りにも流れの中にも、泥の中にもいた。
さらに腐敗した政治家たちが、世界から集まった寄付をすべて盗んで行ったのもよく覚えている。(以下省略)
●自分が役立たずで、ひとりぼっちだと感じたときは、このかわいそうな橋を思うとよい。
↑「2003年に橋は高速道路につなげられた」
この話の教訓は、どんなに役立たずだと感じても、いつかゴールに繋げることが出来るということ。
当事者には、痛ましい災害の記憶として残っているとのことです。
2003年には日本の無償資金協力により架け替えられ、日本への感謝の意を込め橋名が「新チョルテカ橋」から「ソル・ナシエンテ橋(日本橋)」へと改名されています。
(チョルテカ・バイパス橋梁建設計画 | ODA見える化サイト)
(参照:チョルテカ・バイパス橋梁:安藤ハザマ)